冬うらら2

「きゃあっ!!」

 竜巻でも、起きたかと思った。

 すごい勢いが、彼女を回転させたのである。

 気づけば、メイはあおむけで。

 そして、自分の身体の上には、別の重力があった。

 別の呼吸も。

 彼女の唇の側に、浅く速い息づかいが聞こえる。

「カイ……んんっ!」

 名前を呼ぼうとしたのに、出来なかった。

 彼の唇が、襲いかかってきたからである。

 最初から、熱く濡れた舌が割り込んできて。

 強くメイを振り回す。

「ん…んっ」

 愛しむとか、慈しむとか、そういうキスじゃなかった。

 最初から、激しく女として求められているのが分かるキスだ。

 カイトが、自分を欲しがっているのだというのが、間違いようもなく伝わるキスである。

「はぁ…ぁ」

 わずかに唇が離れて、息継ぎをするのだが、すぐ次のキスが襲ってくる。

 むさぼられる。

 見える部分から、触れる部分から、片っ端からバリバリとかじられていく感触。

 欲しいと思われている。

 いや、メイだって彼のことを欲しいと思っていた。

 ずっと、こうして欲しかった。

 ぎこちなく、唇で応えようとするのに、彼女だってその気持ちを伝えたいのに、わずかでも唇や舌を自分の意思で動かそうとするや、また余計に激しい波が上からかぶさってくるのである。

 熱い。

 頭も身体も、どちらの芯も赤く焼けてきたのが分かった。
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