冬うらら2

 あの2人に任せる。

 それこそ、恐ろしい話だった。

 だが、この時のカイトは、今日一日の彼女との自由と、ソウマたちとの拷問的な不自由を、天秤にかけてしまったのである。

「勝手にしろ!」

 ブツッ。

 カイトは返事も待たずに、ケイタイを切った。

 もう二度と邪魔なんかされないように、電源まで切った。

 その頃には、彼の足はベッドのすぐ側まで戻ってきていて。

 メイが。

 毛布の影から、みのむしのように見上げている。

 電話の結果がどうなったのか、すごく心配そうな顔。

「今日は…どこにも行かねぇ」

 カイトは、使い物にならなくなったケイタイを、枕元に乱暴に置いた。

 そうでもしないと、彼女の視線が痛いのだ。

 そして、再び温かい毛布の中に潜り込む。

 彼女の生息する地域と、同じレベルに戻るのだ。

「あっ、でも! 打ち合わせは…」

 ソウマさんだのハルコさんだの、メイはもごもごといろいろ言っていたが、カイトは黙って、まだ素肌のままの彼女を抱え込んだ。

 そんなこと、どうだってよかった。

 いまは、こうして体温を感じていたいのだ。

 不機嫌が甦ったのは、電話を切る前の自分の記憶を、呼び起こしてしまったため。

 クソッ。

 理不尽な気持ちが、胸をよぎる。

 昨日。

 正確には昨夜、メイが、意識を失う寸前に彼に聞いた言葉があったのだ。

『私のこと……好き?』

 屈辱のセリフだった。
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