冬うらら2
□
あの2人に任せる。
それこそ、恐ろしい話だった。
だが、この時のカイトは、今日一日の彼女との自由と、ソウマたちとの拷問的な不自由を、天秤にかけてしまったのである。
「勝手にしろ!」
ブツッ。
カイトは返事も待たずに、ケイタイを切った。
もう二度と邪魔なんかされないように、電源まで切った。
その頃には、彼の足はベッドのすぐ側まで戻ってきていて。
メイが。
毛布の影から、みのむしのように見上げている。
電話の結果がどうなったのか、すごく心配そうな顔。
「今日は…どこにも行かねぇ」
カイトは、使い物にならなくなったケイタイを、枕元に乱暴に置いた。
そうでもしないと、彼女の視線が痛いのだ。
そして、再び温かい毛布の中に潜り込む。
彼女の生息する地域と、同じレベルに戻るのだ。
「あっ、でも! 打ち合わせは…」
ソウマさんだのハルコさんだの、メイはもごもごといろいろ言っていたが、カイトは黙って、まだ素肌のままの彼女を抱え込んだ。
そんなこと、どうだってよかった。
いまは、こうして体温を感じていたいのだ。
不機嫌が甦ったのは、電話を切る前の自分の記憶を、呼び起こしてしまったため。
クソッ。
理不尽な気持ちが、胸をよぎる。
昨日。
正確には昨夜、メイが、意識を失う寸前に彼に聞いた言葉があったのだ。
『私のこと……好き?』
屈辱のセリフだった。
あの2人に任せる。
それこそ、恐ろしい話だった。
だが、この時のカイトは、今日一日の彼女との自由と、ソウマたちとの拷問的な不自由を、天秤にかけてしまったのである。
「勝手にしろ!」
ブツッ。
カイトは返事も待たずに、ケイタイを切った。
もう二度と邪魔なんかされないように、電源まで切った。
その頃には、彼の足はベッドのすぐ側まで戻ってきていて。
メイが。
毛布の影から、みのむしのように見上げている。
電話の結果がどうなったのか、すごく心配そうな顔。
「今日は…どこにも行かねぇ」
カイトは、使い物にならなくなったケイタイを、枕元に乱暴に置いた。
そうでもしないと、彼女の視線が痛いのだ。
そして、再び温かい毛布の中に潜り込む。
彼女の生息する地域と、同じレベルに戻るのだ。
「あっ、でも! 打ち合わせは…」
ソウマさんだのハルコさんだの、メイはもごもごといろいろ言っていたが、カイトは黙って、まだ素肌のままの彼女を抱え込んだ。
そんなこと、どうだってよかった。
いまは、こうして体温を感じていたいのだ。
不機嫌が甦ったのは、電話を切る前の自分の記憶を、呼び起こしてしまったため。
クソッ。
理不尽な気持ちが、胸をよぎる。
昨日。
正確には昨夜、メイが、意識を失う寸前に彼に聞いた言葉があったのだ。
『私のこと……好き?』
屈辱のセリフだった。