冬うらら2
□
あんなにカイトが。
我を忘れるほど激しく抱いた後に、そんなことを聞かれたのだ。
好きな女でなきゃ、彼があんなにも壊れるハズがないというのに。
しかも、ただの好きでもない。
何もかもカイトの中では、ギネス記録がつくほどに荒れ狂う『好き』なのに、どうして彼女はそれを理解出来ないのか。
もしかして。
メイにとっては、彼とのベッドは愛情を感じないのだろうか。
確かに、カイトがガツガツしてしまったが、それでも後から我に返って、何とか、色々――
しかし、女は『好き』という言葉を聞きたいものなのだろうか。
それを聞かないと、安心できないか。
彼女は、その言葉を望むのか。
聞きたいと願っているとするなら。
メイを抱きしめたまま、だらだらと背中に汗をかく。
「ほんとに…出かけない?」
胸の中で、そんなカイトの気持ちを知らない声が、不安そうに聞いてくる。
出かけねぇ、という意味を強く腕に込めた。
す。
カイトの頭に、その文字がよぎる。
そのまま、口に乗せればいいのだ。
ただ、それだけだ。
「す……」
抱きしめている腕にまで汗をかきそうな状態を、カイトは憎んだ。
自分が、彼女のために無理をしようとしているのが分かっていた。
しかし、それをメイが望むなら、無理を承知でも。
「え?」
頭の側から聞こえた声に、何かと思ったのだろう。
チョコレート色の瞳が、不思議そうに見上げてくる。
い……言えねぇ。
カクベツの『好き』な女に、たった一言も言ってやれない不甲斐ない自分に、カイトはがっくりとマウンドで膝をついた。
砂を集めて袋に詰め―― また、来年。
あんなにカイトが。
我を忘れるほど激しく抱いた後に、そんなことを聞かれたのだ。
好きな女でなきゃ、彼があんなにも壊れるハズがないというのに。
しかも、ただの好きでもない。
何もかもカイトの中では、ギネス記録がつくほどに荒れ狂う『好き』なのに、どうして彼女はそれを理解出来ないのか。
もしかして。
メイにとっては、彼とのベッドは愛情を感じないのだろうか。
確かに、カイトがガツガツしてしまったが、それでも後から我に返って、何とか、色々――
しかし、女は『好き』という言葉を聞きたいものなのだろうか。
それを聞かないと、安心できないか。
彼女は、その言葉を望むのか。
聞きたいと願っているとするなら。
メイを抱きしめたまま、だらだらと背中に汗をかく。
「ほんとに…出かけない?」
胸の中で、そんなカイトの気持ちを知らない声が、不安そうに聞いてくる。
出かけねぇ、という意味を強く腕に込めた。
す。
カイトの頭に、その文字がよぎる。
そのまま、口に乗せればいいのだ。
ただ、それだけだ。
「す……」
抱きしめている腕にまで汗をかきそうな状態を、カイトは憎んだ。
自分が、彼女のために無理をしようとしているのが分かっていた。
しかし、それをメイが望むなら、無理を承知でも。
「え?」
頭の側から聞こえた声に、何かと思ったのだろう。
チョコレート色の瞳が、不思議そうに見上げてくる。
い……言えねぇ。
カクベツの『好き』な女に、たった一言も言ってやれない不甲斐ない自分に、カイトはがっくりとマウンドで膝をついた。
砂を集めて袋に詰め―― また、来年。