冬うらら2
01/30 Sun.
□55
「よぉ、元気そうじゃないか」
……来やがった。
カイトは、半目でドアの方を見た。
性懲りもなく、ソウマ夫婦がご入場してきたのである。
怒鳴って叩き出さないのは、昨日の約束をすっぽかした後ろめたさがあるためだ。
ちょっとくらいなら我慢してやる、というところだった。
しかし、長居は望んでいない。
彼女との生活を、しっかり身体に刻みつけようとしている日々なのに、なかなかうまくいかないせいで、他人に対して広い心が持てないのだ。
結婚式という、大きなイベントが立ちふさがってしまったせいもあるだろうが、つい数日前まで、女性の神秘な部分に振り回された影響も大きかった。
触れたいのに触れられないというジレンマが、いろんなものを総動員してカイトを責め立てたのである。
ようやく、大きな瓦礫は取り除かれたが、大邸宅を建て直すまでには全然遠かったのだ。
しかし、本日のソウマは、少々表情がよろしくなかった。
いつものにこやかな微笑みとは、少々色合いが違っていたのだ。
いや、確かに微笑んではいる。
微笑んではいるのだが、腹に一物ある微笑みだった。
昨日、すっぽかしたことを、ネに持っているのだろうか。
心の狭い男だ。
「昨日はどうも……」
部屋まで案内してきたメイが、小さくなりながら2人に詫びの姿勢を見せる。
その身体を、ぐいっと引っ張って、自分の陣営に連れ込んだ。
昨日の件で謝るとしたら、彼女ではなく自分で。
しかし。
面と向かって、ソウマに謝る気などなかった。
まだこの時点で怒鳴っていないのだから、そこから悟れ、というところだ。
「いいのよ…カイト君に邪魔されなかった分、素敵なプランが組めたのよ。場所と時間しか決まっていなかったものね」
ハルコが、にっこり微笑む。
「よぉ、元気そうじゃないか」
……来やがった。
カイトは、半目でドアの方を見た。
性懲りもなく、ソウマ夫婦がご入場してきたのである。
怒鳴って叩き出さないのは、昨日の約束をすっぽかした後ろめたさがあるためだ。
ちょっとくらいなら我慢してやる、というところだった。
しかし、長居は望んでいない。
彼女との生活を、しっかり身体に刻みつけようとしている日々なのに、なかなかうまくいかないせいで、他人に対して広い心が持てないのだ。
結婚式という、大きなイベントが立ちふさがってしまったせいもあるだろうが、つい数日前まで、女性の神秘な部分に振り回された影響も大きかった。
触れたいのに触れられないというジレンマが、いろんなものを総動員してカイトを責め立てたのである。
ようやく、大きな瓦礫は取り除かれたが、大邸宅を建て直すまでには全然遠かったのだ。
しかし、本日のソウマは、少々表情がよろしくなかった。
いつものにこやかな微笑みとは、少々色合いが違っていたのだ。
いや、確かに微笑んではいる。
微笑んではいるのだが、腹に一物ある微笑みだった。
昨日、すっぽかしたことを、ネに持っているのだろうか。
心の狭い男だ。
「昨日はどうも……」
部屋まで案内してきたメイが、小さくなりながら2人に詫びの姿勢を見せる。
その身体を、ぐいっと引っ張って、自分の陣営に連れ込んだ。
昨日の件で謝るとしたら、彼女ではなく自分で。
しかし。
面と向かって、ソウマに謝る気などなかった。
まだこの時点で怒鳴っていないのだから、そこから悟れ、というところだ。
「いいのよ…カイト君に邪魔されなかった分、素敵なプランが組めたのよ。場所と時間しか決まっていなかったものね」
ハルコが、にっこり微笑む。