冬うらら2

 確か、原因は。

 ソウマの放浪癖が長すぎたことか、長すぎた上に、まったくハルコに連絡をしなかったことか。

 とにかく、その辺りだ。

 結局、1ヶ月後に退職。

 と言っても、ほとんど引き継ぎ関係だけにしか、出社しなかったが。

 2ヶ月後に挙式、という事態になったのである。

 結婚式のことを、思い出そうとした。

 しかし、カイトは式場までは呼ばれなかったので、どういう挙式風景だったのかは分からなかった。

 式場前で出迎えてライスがどうとか、という話もあったようだが、彼がそんなものに顔を出すはずがなかった。

 大体、あの時もいろいろ会社が忙しくて、披露宴なるパーティに出席した時は、かなり頭が朦朧としていた。

 ただ、ちょっと違う感じの披露宴だった。

 席が用意してあるのではなく、立食形式とか言うヤツで。

 堅苦しくなかったのはありがたかったが、後半眠くなって、近くにあった準備室のようなところで、うたた寝してしまった。

 カイトの、自慢できない態度はさておき、目の前の夫婦の様子を見るからには、どうやらハルコの希望の結婚式だったようだ。

 まあ、その行事そのものが女のためにあるようなものだから、どこでもそんなものなのだろうが。

「すごく素敵な話が聞けるわよ…2人でデートだと思って、言ってらっしゃい」

 カイトの心も、ソウマの心も脇に押しのけて、ハルコはいきなりメイを陥落させる手段に出た。

 いきなり性差別に出られると、とっさに割って入れない。

「あ、はい……」

 ほら。

 クソッ。

 素直なメイが、頷いてしまったではないか。


 これで、つまらない男たちは―― 何の反論も出来なくなってしまったのだった。
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