冬うらら2
☆
彼女の感情を、うまく理解することも出来ず、ソウマの方もイライラが積み重なる。
帰国して、一度も会ってないのだ。
もう何ヶ月、顔を見ていない算段になるだろうか。
記憶の中の微笑みは覚えているが、それはきっともう本物ではない。
本物のハルコが、見たかった。
触れたかった。
そして、ソウマも爆発した。
白昼堂々、鋼南電気に殴り込んでしまったのである。
そんな彼に、結婚講座を受講させたのは、ハルコの最後の反撃だったのかもしれない。
神父の説教にあったのだ。
『楽しい時間を過ごしたいなら、楽しい相手を選べは良いのです。静かな時間を過ごしたいなら、静かな相手を選べば良いのです。波瀾万丈の時を過ごしたいなら、それに見合った相手を探すことです』
ソウマは、どれも好きだった。
楽しい時間も、静かな時間も、波瀾万丈な時間も。
だから、その時に彼は決めたのだ。
これまで、楽しい時間も静かな時間もハルコとは共有してきた。
唯一、切り分けていた『波瀾万丈な時間』とやらも、これから彼女と共有しよう、と。
山に登る時も、ジャングルに行く時も。
彼女が、『もう行きたくないわ』というまで、連れて行こうと思った。
今のところまだ行きたくないとは言わないが、彼女の身体を考えると不可能だ。
結果的に、2人の世界から波瀾万丈な時間というものは、無事出産するまでは消え去ったかに見えていたのに。
「遅れちゃダメよ。ちゃんと神父様にご挨拶してね」
まるで母親のように、甲斐甲斐しく2人に助言するハルコの姿ときたら、宝の埋まっている島を見つけた船長よりも、目を輝かせていた。
さて。
そろそろ潮時という感じになってきた。
最初は、おとなしくぶすったれていたカイトの気配が、『出ていけモード』にシフトしつつあったのだ。
じきに、キレて怒鳴り出しかねなかった。
おなかの子供は、生まれるまで一体何度それを胎教にするだろうか。
彼女の感情を、うまく理解することも出来ず、ソウマの方もイライラが積み重なる。
帰国して、一度も会ってないのだ。
もう何ヶ月、顔を見ていない算段になるだろうか。
記憶の中の微笑みは覚えているが、それはきっともう本物ではない。
本物のハルコが、見たかった。
触れたかった。
そして、ソウマも爆発した。
白昼堂々、鋼南電気に殴り込んでしまったのである。
そんな彼に、結婚講座を受講させたのは、ハルコの最後の反撃だったのかもしれない。
神父の説教にあったのだ。
『楽しい時間を過ごしたいなら、楽しい相手を選べは良いのです。静かな時間を過ごしたいなら、静かな相手を選べば良いのです。波瀾万丈の時を過ごしたいなら、それに見合った相手を探すことです』
ソウマは、どれも好きだった。
楽しい時間も、静かな時間も、波瀾万丈な時間も。
だから、その時に彼は決めたのだ。
これまで、楽しい時間も静かな時間もハルコとは共有してきた。
唯一、切り分けていた『波瀾万丈な時間』とやらも、これから彼女と共有しよう、と。
山に登る時も、ジャングルに行く時も。
彼女が、『もう行きたくないわ』というまで、連れて行こうと思った。
今のところまだ行きたくないとは言わないが、彼女の身体を考えると不可能だ。
結果的に、2人の世界から波瀾万丈な時間というものは、無事出産するまでは消え去ったかに見えていたのに。
「遅れちゃダメよ。ちゃんと神父様にご挨拶してね」
まるで母親のように、甲斐甲斐しく2人に助言するハルコの姿ときたら、宝の埋まっている島を見つけた船長よりも、目を輝かせていた。
さて。
そろそろ潮時という感じになってきた。
最初は、おとなしくぶすったれていたカイトの気配が、『出ていけモード』にシフトしつつあったのだ。
じきに、キレて怒鳴り出しかねなかった。
おなかの子供は、生まれるまで一体何度それを胎教にするだろうか。