冬うらら2
□
夢中で先を読んでいく。
その視線が。
ある一文のところで、ピタリと止まる。
息も、止まった。
『いま、とても幸せに暮らしています』
オーバーな装飾が一切ない、素直な文章だった。
だからこそ。
全て、本音に感じる文章でもあったのだ。
カイトは、なかなか息がつげなかった。
いまの自分の気持ちを、どう表現したらいいのか分からないまま、何度も何度もその文章を眺めるのだ。
とても。
幸せだと。
背筋が、ぞくっとした。
強い衝動が、わきあがってきたのだ。
それを、ぐっとこらえる。
そうしないと、心のどこかで蛇口がひねられてしまいそうだったのだ。
そうなったら、きっとこのハガキを濡らしてしまうだろう。
だから、ぐっと奥歯を噛みしめる。
もう一度、その文章を目でたどった。
メイは、今の生活を幸せだと思ってくれているのだ。
カイトと暮らしていることを。
オレと。
彼は、余りに女性に対して足りないものが多すぎる。
その自覚があった。
優しくする方法も、頼らせる方法も、男として好かれる方法も。
何もかも、デキの悪いゲームソフトのようで、彼は片っ端からけっ飛ばしたくてしょうがなかった。
こんな男のままでは、メイがうっかり、他の男に目を向けてしまうかもしれない。
いや、そんな女でないことは知っているつもりなのだが、それでも、ソウマみたいな男を見るとコンプレックスがうずく瞬間があるのだ。
夢中で先を読んでいく。
その視線が。
ある一文のところで、ピタリと止まる。
息も、止まった。
『いま、とても幸せに暮らしています』
オーバーな装飾が一切ない、素直な文章だった。
だからこそ。
全て、本音に感じる文章でもあったのだ。
カイトは、なかなか息がつげなかった。
いまの自分の気持ちを、どう表現したらいいのか分からないまま、何度も何度もその文章を眺めるのだ。
とても。
幸せだと。
背筋が、ぞくっとした。
強い衝動が、わきあがってきたのだ。
それを、ぐっとこらえる。
そうしないと、心のどこかで蛇口がひねられてしまいそうだったのだ。
そうなったら、きっとこのハガキを濡らしてしまうだろう。
だから、ぐっと奥歯を噛みしめる。
もう一度、その文章を目でたどった。
メイは、今の生活を幸せだと思ってくれているのだ。
カイトと暮らしていることを。
オレと。
彼は、余りに女性に対して足りないものが多すぎる。
その自覚があった。
優しくする方法も、頼らせる方法も、男として好かれる方法も。
何もかも、デキの悪いゲームソフトのようで、彼は片っ端からけっ飛ばしたくてしょうがなかった。
こんな男のままでは、メイがうっかり、他の男に目を向けてしまうかもしれない。
いや、そんな女でないことは知っているつもりなのだが、それでも、ソウマみたいな男を見るとコンプレックスがうずく瞬間があるのだ。