冬うらら2

 オレには、あんな風にできねぇ。

 いつも乱暴でがむしゃらで、見栄えの悪い『好き』を一つしか抱えていないのだ。

 それを花束にして渡しても、彼女が喜んでくれているのか、本当はいつだって自信がなかった。

 でも、それしかないのだ。

 その花束を。

 いつも戸惑ったような表情で受け止めていたメイは、けれども、こんなハガキを書いた。

 とても、幸せだと。

 オレといて。

 オレと一緒にいて。

 オレと!!

 カイトは、階段を駆け上がっていた。

 ハガキを握りしめたまま。


  ※


「カイ…?」

 お茶に使った、カップを片づけようとしていた彼女が、その剣幕に怪訝そうに顔を上げた。

 浮かしかけたトレイを、もう一度テーブルに戻す。

 カイトは、飛び込んできた時の勢いのままで、そんなメイのすぐ側まで駆けつけ――

「ええ?」

 そのまま、戸惑う彼女をぎゅうっと抱きしめた。

 熱い。

 胸が、焦げるくらいに熱い。

 世界でただ1人の女が、自分の腕の中にいる。

「カイト…どうしたの?」

 メイは顔を上げて、彼の表情を覗こうとするような動きを見せる。

 しかし、それが出来ないくらいに、もっとぎゅうっと抱いた。
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