冬うらら2

「大事に……する」

 強く抱きしめたまま、声を絞り出した。

 いつもなら、口に出したら価値が暴落するような文句だ。

 ガラじゃない。

 口が腫れる。

 そんな欠点を踏みつけにしても、いまはメイに言いたかった。

「もっと…おめぇを幸せにする」

 もっともっと。

 誰が見ても、彼女が幸せだと分かるように。

 もっと―― メイが彼のことを好きになるように。

 もっともっともっともっとだ!!!

「好き…だ」

 懸命な声にしかならない。

 甘いセリフでも、囁きでもない。

 けれど、これがカイトなのだ。

 こんなオレを、好きだと。

 好きだと。

 言ってくれ。


「カイト…嬉し……好き」


 抱きかえされた。

 身体が震える。

 ああ。

 苦しい。

 一番欲しい言葉が、返ってきたというのに、前よりももっと胸が締め付けられる。

 折れそうなくらい、力を入れて抱きしめているのに、まだ全然足りない。

 クソッ。

 身体をひきはがす。

 自分の今の顔を見られたくなくて、そのまま強く唇を奪った。
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