冬うらら2

 でも、よく考えればすごく他愛のないことだ。

 カイトにとっては、知り合いということではないし、今はそれどころではなさそうだ。

 本当の夫婦なら、こんな他愛ないことでも、自然にしゃべるものなのだろう。

 けれども、まだ彼女はどこまで、カイトに話をしていいのか分からなかった。

 どんな話題なら、彼は喜ぶのか―― そう考えてしまうと、身動きが取れなくなってしまうのだ。

 でも。

 言えるようになりたいな。

 他愛ない話で一緒に笑ったり、カイトにももっと会社の話をして欲しい。

 もっと、打ち解けないとダメかな―― 夫婦にあるまじきことを考えていることに、メイは気づくことが出来なかった。

 結局、無言のまま教会に到着した。

 7時4分。


 神父様は、心の広い方だった。

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