冬うらら2
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お墓まで。
バスと電車を乗り継いで。
きっと、夕方前には帰ってこられるだろう。
ホウキを持って、せめて途中で綺麗なお花を買って。
メイは、頭の中でいろんなことを渦巻かせていたが、まだ顔を上げられないでいた。
カイトの返事は、まだない。
何か問題でもあるのかと、不安になって覗き見ようと思ったら。
「オレだ…」
いきなり、予測外の声が聞こえて驚いた。
前後の脈絡が、全然ない言葉だったのだ。
慌てて顔を上げると、カイトはケイタイをかけていた。
急ぎの電話でも入ったのだろうか。
ぽかんとしたままカイトを見ていると、彼の口が信じられないことを言った。
「今日はちょっと遅れる。急用があったら、ケイタイを鳴らせ」
それだけだった。
言い終わるや通話を切って、懐にそれをしまうのだ。
え? え???
豆鉄砲をいきなり食らってしまって、オロオロしてしまう。
きっと電話の先は会社だろう。
そして、遅刻すると告げたのだ。
理由なんて、一つしかない。
メイの思い過ごしでなかったら、それはきっと、『一緒に墓参りに行く』ということ。
ううん、そんなハズは。
だってカイトは今、とても忙し――
「用意しろ…」
思い過ごしなんかじゃなかった。
カイトが、まっすぐに彼女を見て、そう言ったのだから。
お墓まで。
バスと電車を乗り継いで。
きっと、夕方前には帰ってこられるだろう。
ホウキを持って、せめて途中で綺麗なお花を買って。
メイは、頭の中でいろんなことを渦巻かせていたが、まだ顔を上げられないでいた。
カイトの返事は、まだない。
何か問題でもあるのかと、不安になって覗き見ようと思ったら。
「オレだ…」
いきなり、予測外の声が聞こえて驚いた。
前後の脈絡が、全然ない言葉だったのだ。
慌てて顔を上げると、カイトはケイタイをかけていた。
急ぎの電話でも入ったのだろうか。
ぽかんとしたままカイトを見ていると、彼の口が信じられないことを言った。
「今日はちょっと遅れる。急用があったら、ケイタイを鳴らせ」
それだけだった。
言い終わるや通話を切って、懐にそれをしまうのだ。
え? え???
豆鉄砲をいきなり食らってしまって、オロオロしてしまう。
きっと電話の先は会社だろう。
そして、遅刻すると告げたのだ。
理由なんて、一つしかない。
メイの思い過ごしでなかったら、それはきっと、『一緒に墓参りに行く』ということ。
ううん、そんなハズは。
だってカイトは今、とても忙し――
「用意しろ…」
思い過ごしなんかじゃなかった。
カイトが、まっすぐに彼女を見て、そう言ったのだから。