冬うらら2

 あの教会を勧めてくれたハルコに、とても感謝した。

 お墓で別れれば、きっとそんなに遅刻をせずに済むんじゃないかと思って、自分の心のタガを緩める。

 本当は。

 一緒の姿を見せたいというのも、心の隅にはあった。

 その芽が、にょきにょきと伸びてきてしまう。

 このままじゃいけないと思うのに、カイトの心に甘えたい気持ちばかりが育っていく。

 せめて、急いで準備と着替えを済ませよう。

「ま、待ってて…すぐ用意してくるから」

 彼と一緒に出かけられるというだけで、本当はすごく嬉しい。

 また出かけたいと思ってもらえるように、グズグズしないようにしなくちゃ。

 運動会のかけっこで、金のシールはもらったことはないけれども、せめて銀のシールがもらえるくらいに。


 ヨーイ――ドン。
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