冬うらら2
□
そして、ようやく掃除が終わった。
花も、溢れんばかりに活けられた。
見違えるほど、綺麗なお墓になって。
「お父さん…今まで放っておいてごめんね」
墓の前に立ちつくしたまま、彼女は小さな声で墓に呼びかけた。
娘の声だ。
顔は、後ろにいるカイトから見えないが、きっと娘の顔になっているに違いなかった。
カイトの、知らない時代のメイ。
「私の、一番大事な人を連れてきたよ。お父さんは、自分の方がカッコイイと言うかもしれないけど、それはお母さんが思ってるからいいよね?」
背中が。
小さく震える。
カイトの目の前で。
「カイトって言うの。ゲームソフトを作ってるの…まだ、私はやったことないけど、きっとすごく面白いよ。お父さんは、ユウちゃんのやってたマリオで、マリオと一緒に動いて笑われちゃったけど」
とりとめのない言葉。
彼は、その背中をじっと見ていた。
邪魔をしてはいけなかった。
いまは、メイが大事な父親と話をしているのだ。
「私ね…カイトが酔って帰ってきたら、靴下を脱がせてあげるの。そしたら、私も立派な奥さんだよね? ご飯を作って、カイトにおかえりって言って、そんな毎日毎日を大事にして…ずっとずっと彼のことを好きでいたら…私でも、ちゃんとお母さんみたいな奥さんになれるよね…おかあさんみた…い…」
邪魔。
してはいけないと思っているのに。
震える声。
愛しい気持ち。
溢れ返る思いを、どうして我慢なんか出来よう。
カイトは、彼女を抱きしめた。
そして、ようやく掃除が終わった。
花も、溢れんばかりに活けられた。
見違えるほど、綺麗なお墓になって。
「お父さん…今まで放っておいてごめんね」
墓の前に立ちつくしたまま、彼女は小さな声で墓に呼びかけた。
娘の声だ。
顔は、後ろにいるカイトから見えないが、きっと娘の顔になっているに違いなかった。
カイトの、知らない時代のメイ。
「私の、一番大事な人を連れてきたよ。お父さんは、自分の方がカッコイイと言うかもしれないけど、それはお母さんが思ってるからいいよね?」
背中が。
小さく震える。
カイトの目の前で。
「カイトって言うの。ゲームソフトを作ってるの…まだ、私はやったことないけど、きっとすごく面白いよ。お父さんは、ユウちゃんのやってたマリオで、マリオと一緒に動いて笑われちゃったけど」
とりとめのない言葉。
彼は、その背中をじっと見ていた。
邪魔をしてはいけなかった。
いまは、メイが大事な父親と話をしているのだ。
「私ね…カイトが酔って帰ってきたら、靴下を脱がせてあげるの。そしたら、私も立派な奥さんだよね? ご飯を作って、カイトにおかえりって言って、そんな毎日毎日を大事にして…ずっとずっと彼のことを好きでいたら…私でも、ちゃんとお母さんみたいな奥さんになれるよね…おかあさんみた…い…」
邪魔。
してはいけないと思っているのに。
震える声。
愛しい気持ち。
溢れ返る思いを、どうして我慢なんか出来よう。
カイトは、彼女を抱きしめた。