冬うらら2
□
夜中。
カイトは―― 仕事のこととメイのことと、疲労の全てを脳に押し込めて帰りついた。
しかし、気にしてはいけないと、またも自分に言い聞かせる。
いつものように玄関を開けて、彼女の『お帰りなさい』を聞いて、それからぎゅっと抱きしめて。
それで幸せなのだから、いいではないか。
これ以上、ゼイタクを言うと、舌をちぎられそうだった。
すぅっと、一つ冷たい夜風を吸い込んで。
彼は、玄関の扉を開けた。
「おかえりなさい!」
パジャマにカーディガンをひっかけて、メイが出迎えてくれる。
その身体を、ぎゅっと抱きしめる。
のだが。
んあ?
カイトは、異物感に気づいた。
いつもなら、もっと彼女と密着出来るはずなのに、胸の辺りに何かつかえているのだ。
確かに、彼女の秘密は気になってしょうがないが、そのつかえじゃない。
もっと現実的な、形あるもの。
そっと、メイの身体を離すと。
彼女が、胸に袋を抱えているのが分かった。
結構大きなもので―― これが、カイトとの抱擁の邪魔をしていたのである。
「あっ、あ…これね」
視線に気づいたのか、メイがその袋を持ち直す。
それから、カイトの方へと差し出した。
よく見ると、綺麗に包装された上に、リボンまでかけられている。
どう見ても、贈り物のようだった。
オレに?
まだよく分からずに、カイトはクビを微かに傾けた。
誕生日でもない。
クリスマスでもない。
なのに、どうして何かを彼に寄越そうとするのか。
夜中。
カイトは―― 仕事のこととメイのことと、疲労の全てを脳に押し込めて帰りついた。
しかし、気にしてはいけないと、またも自分に言い聞かせる。
いつものように玄関を開けて、彼女の『お帰りなさい』を聞いて、それからぎゅっと抱きしめて。
それで幸せなのだから、いいではないか。
これ以上、ゼイタクを言うと、舌をちぎられそうだった。
すぅっと、一つ冷たい夜風を吸い込んで。
彼は、玄関の扉を開けた。
「おかえりなさい!」
パジャマにカーディガンをひっかけて、メイが出迎えてくれる。
その身体を、ぎゅっと抱きしめる。
のだが。
んあ?
カイトは、異物感に気づいた。
いつもなら、もっと彼女と密着出来るはずなのに、胸の辺りに何かつかえているのだ。
確かに、彼女の秘密は気になってしょうがないが、そのつかえじゃない。
もっと現実的な、形あるもの。
そっと、メイの身体を離すと。
彼女が、胸に袋を抱えているのが分かった。
結構大きなもので―― これが、カイトとの抱擁の邪魔をしていたのである。
「あっ、あ…これね」
視線に気づいたのか、メイがその袋を持ち直す。
それから、カイトの方へと差し出した。
よく見ると、綺麗に包装された上に、リボンまでかけられている。
どう見ても、贈り物のようだった。
オレに?
まだよく分からずに、カイトはクビを微かに傾けた。
誕生日でもない。
クリスマスでもない。
なのに、どうして何かを彼に寄越そうとするのか。