冬うらら2

 買い物だって、ちゃんとやりくりをして。

 家計簿をつけて。

 服は、まだ季節が変わってないので、新しいものはいらないし。

 メイという存在は、非常に家事を行う上では有能だったのだ。

 カイトが、それについてどうコメントするかは、脇に置いておくとして。

 もとい。

 彼女がいま渡した贈り物―― セーターが、今やまさに覗き込まれようとしていた。

 がさがさ。

 手が、突っ込まれる。

 まさしく掴み出すという動きで、袋の中からきれいな毛糸だったものが引きずり出されたのだ。

 ばさっと。

 全体を握っていなかったらしく、綺麗に畳んでいたセーターは自分の重みで袖や裾を広げ、ぶら下がった。

 その勢いで、袋が跳ね飛ばされ、床に落ちる。

 あっ。

 この時、メイのカメラは一瞬、足元に視線を投げてしまった。

 だが、すぐに袋などどうでもいいことに気づく。

 後で拾って、きちんと折り畳んで、また何かに使えばいいのだ。

 いまは。

 いまは、間違いなくセーターを見ているだろうカイトの表情の方が。

 ぱっと顔を上げると、驚いた顔のままで彼がその毛糸を見ていた。

 まだ驚いてる。

 まだ驚いて。

 まだ。

 あれ?

 メイは、じっとカイトの顔を見た。

 同じ表情で、固まったままだったのだ。
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