冬うらら2
02/09 Wed.
♪68
「えっえー!! ずるーい!!」
ハナは、絶叫した。
普通の状態であれば、絶対上司から注意されてしかるべき音量と口調だ。
しかし、誰も注意する人間はいない。
彼女がハナである、ということもあったが、今が―― 定時をとっくに過ぎた夜ということのおかげだ。
かなり、みんな判断力が麻痺しつつある。
コトの起こりは、誰かが机に出しっぱなしにしていた封筒を、彼女が見つけたところからだった。
それには、金シールが貼ってあったのだ。
差出人は。
「私も、シャチョーの結婚式に出たいー!!」
※
ぶっすー。
すっかりふくれっ面になってしまったまま、ハナは仕事を続けていた。
聞けば、第一開発部の人たちは、全員披露宴の招待状をもらっているらしい。
それから、第二と第三も上の方だけには、回ってきてるというのだ。
しかし、ハナにはない。
所詮、彼女は第三開発部の人間で、そして下っ端だったのである。
ちぇー! ちぇー!!!
どうせ結婚式を挙げるなら、私が第一に入ってからにすればいいのにー!
ワガママの限りを尽くしながら、彼女は椅子をギシギシ言わせた。
せっかく、昨日シャチョーにゲームを見てもらえる約束を取り付けて上機嫌だったのに、今ではすっかりそれも墜落だ。
第一のメンバーが、誰1人とその招待状を譲ってくれなかったのも、不機嫌の原因だ。
「1万でどう? 1万でー!!」
そう懇願する彼女に、「パー券じゃないんだから」とみんなニヤニヤしたのである。
パー券の方が、よっぽど楽に手に入る。
これは、芸能人の結婚式に、潜り込むようなものなのだ。
少なくとも、ハナにとってはそうだった。
「えっえー!! ずるーい!!」
ハナは、絶叫した。
普通の状態であれば、絶対上司から注意されてしかるべき音量と口調だ。
しかし、誰も注意する人間はいない。
彼女がハナである、ということもあったが、今が―― 定時をとっくに過ぎた夜ということのおかげだ。
かなり、みんな判断力が麻痺しつつある。
コトの起こりは、誰かが机に出しっぱなしにしていた封筒を、彼女が見つけたところからだった。
それには、金シールが貼ってあったのだ。
差出人は。
「私も、シャチョーの結婚式に出たいー!!」
※
ぶっすー。
すっかりふくれっ面になってしまったまま、ハナは仕事を続けていた。
聞けば、第一開発部の人たちは、全員披露宴の招待状をもらっているらしい。
それから、第二と第三も上の方だけには、回ってきてるというのだ。
しかし、ハナにはない。
所詮、彼女は第三開発部の人間で、そして下っ端だったのである。
ちぇー! ちぇー!!!
どうせ結婚式を挙げるなら、私が第一に入ってからにすればいいのにー!
ワガママの限りを尽くしながら、彼女は椅子をギシギシ言わせた。
せっかく、昨日シャチョーにゲームを見てもらえる約束を取り付けて上機嫌だったのに、今ではすっかりそれも墜落だ。
第一のメンバーが、誰1人とその招待状を譲ってくれなかったのも、不機嫌の原因だ。
「1万でどう? 1万でー!!」
そう懇願する彼女に、「パー券じゃないんだから」とみんなニヤニヤしたのである。
パー券の方が、よっぽど楽に手に入る。
これは、芸能人の結婚式に、潜り込むようなものなのだ。
少なくとも、ハナにとってはそうだった。