冬うらら2
☆70
 ムッスー。

 朝、いい雰囲気のところを、邪魔したのが腹立たしいのか。

 それとも―― ソウマたちが存在するだけで、不機嫌なポーズを取らなければならないという、義務感でもあるのか。

 ソウマは、心の中では笑みを。

 そうして、表面上では苦笑を浮かべながら、朝の調理場を急襲したことを、無言で責められていた。

 おかげで部屋の方にも招待してくれず、ダイニングでガン首揃えたままだった。

 確かに、約束の時間よりも遙かに早い。

 迎えに来る予定もなかった。

 しかし、この2人は遅刻の前科持ちであることと、今日のリハーサルについて、本当にちゃんと知っているかどうか謎だったのだ。

 必要なことを彼女に伝えていたが、本当にカイトがそれを実行するか謎だったのである。

 仕事になんか抜け出されたら、目も当てられない。

 お節介と呼ばれる覚悟は、とっくの昔に出来ているソウマたちは、またしても、その称号をより輝かせようとしたのだった。
< 340 / 633 >

この作品をシェア

pagetop