冬うらら2
☆
「外すといっても、ほんのちょっとだけよ。それに…カイトくんに、指輪をはめてもらえるわよ」
にこにこっ。
一見、長引きそうな話題だったが、ハルコのうまい感情操作のスイッチが入れられた。
すると。
あっ。
メイの唇が、そんな風に開いた。
言われてそれに気づいた、という雰囲気だ。
そして、ちらっとカイトの方を見る。
どうやら、彼女の方は指輪をはめて欲しそうだった。
無骨で、女慣れしていないカイトのことだ。
指輪を自力で買ったのは上出来だったが、はめてやるなんて思いつきもしなかっただろう。
ロマンティックの勉強を、もっとすべき男だった。
講師なら、いつだってやってやろう、とソウマは構えているのに。
「てめーらは見んな」
ぶすったれて。
しかし、メイの視線の意味が、カイトも分かったのだろう。
無茶なことを言った。
当日は、もっとたくさんの人間の視線にさらされるというのに。
けれども、まあ。
指輪に対しては譲歩が見られたので、ヨシとしておこう。
さて、次は。
「ほら、早く着替えて着替えて」
進行係は、ハルコに任せていれば間違いない。
エプロン姿のメイと、セーター姿のカイトを追い立てて、いい服に着替えさせようとする。
ソウマたちだって、今日はめかしこんできたのだ。
自分のネクタイを軽く持ち上げて見せて、こういう服に着替えろと無言の指示を出す。
が。
「オレは、このままでいい」
などと、カイトはまたも駄々をこねだすのだ。
「外すといっても、ほんのちょっとだけよ。それに…カイトくんに、指輪をはめてもらえるわよ」
にこにこっ。
一見、長引きそうな話題だったが、ハルコのうまい感情操作のスイッチが入れられた。
すると。
あっ。
メイの唇が、そんな風に開いた。
言われてそれに気づいた、という雰囲気だ。
そして、ちらっとカイトの方を見る。
どうやら、彼女の方は指輪をはめて欲しそうだった。
無骨で、女慣れしていないカイトのことだ。
指輪を自力で買ったのは上出来だったが、はめてやるなんて思いつきもしなかっただろう。
ロマンティックの勉強を、もっとすべき男だった。
講師なら、いつだってやってやろう、とソウマは構えているのに。
「てめーらは見んな」
ぶすったれて。
しかし、メイの視線の意味が、カイトも分かったのだろう。
無茶なことを言った。
当日は、もっとたくさんの人間の視線にさらされるというのに。
けれども、まあ。
指輪に対しては譲歩が見られたので、ヨシとしておこう。
さて、次は。
「ほら、早く着替えて着替えて」
進行係は、ハルコに任せていれば間違いない。
エプロン姿のメイと、セーター姿のカイトを追い立てて、いい服に着替えさせようとする。
ソウマたちだって、今日はめかしこんできたのだ。
自分のネクタイを軽く持ち上げて見せて、こういう服に着替えろと無言の指示を出す。
が。
「オレは、このままでいい」
などと、カイトはまたも駄々をこねだすのだ。