冬うらら2

 夜。

 11時に、親の家に殴り込む。

「もう今日は遅いから、泊まっていったら? 何だったら、メイちゃんだけでも」

 などという母親から、何とか彼女を奪還して。

 車の中。

「写真を…見せてもらったの」

 一緒にいなかった時間を埋めるように、メイがしゃべり始める。

 どうやら、彼の実家での出来事のことらしい。

 写真?

 カイトは、眉を顰めた。

 ハルコやソウマに預けるよりは、まだ親の方がマシだろうと思って、彼はそっちを選んだのだ。

 しかし、どちらの夫婦にせよ、過去のカイトを知っていることは確かだった。

 どのくらいの過去か、ということで違うだけである。

 大学以降のことは、ソウマ夫婦の方が知っているだろうが、その前となると。

 クソッ。

 余計なことしやがってと、自分の両親を攻撃する。

 勿論、想像上のことだが。

「一枚…もらっちゃった」

 赤信号で止まった時―― 爆弾発言があった。

 なにー!?

 大慌てで彼女の方を見ると、大事そうにバッグを押さえているではないか。

 その中に、カイトの昔の写真が入っているというのだ。

「だっ、出せ!」

 こんな、恥ずかしいことはなかった。

 彼は、何とかそれを奪い返そうと。

 いや、もう最初から破り捨てる気だった。

 どんな写真か分からないが、どれにせよ耐えられそうになかったのだ。

「だめー!!!」

 バッグを隠すように、カイトより遠い側に持っていってしまう。
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