冬うらら2
02/13 Sun.
●73
あ。
あした。
メイは、がちがちに肩に力が入っていた。
明日の結婚式のことを考えると、昨日よりももっと眠れないのだ。
おかげで今日も、いろんなものをひっくり返してしまった。
カイトが会社に行っててよかった―― が、それらは全部、一緒にいたハルコに目撃された挙げ句、妊婦という立場で彼女だって大変なのに、残りの仕事を奪われてしまった。
はぁ。
おかげで、自己嫌悪もついてくる。
家事に関することだけは、自分が全部やりたかったのに。
『今日はもう、何もしちゃダメよ』
明日の最終確認が全て終わって帰る時、ハルコがそう釘を刺した。
おかげで、夕食も作っていない。
何度も作ろうと思い立ち、調理場までは行ったのだが、今日のその場所は、夜の森のように彼女に優しくなかったのだ。
多分、もうすぐカイトが帰ってくるだろう。
その時に、夕食も作っていない彼女をどう思うだろうか。
それ以前に、どう説明をしよう。
緊張しすぎて、何も手につきませんでした?
何て、マヌケな言い訳だろう。
う。
ダイニングの席に座ってため息をついていた彼女は、ちらちらと夜の森の方を見る。
『夜の森にだけには、行ってはいけないよ』
そう禁じられた、おとぎ話の主人公の気分だ。
言いつけを破ったら、大体不幸になるのである。
おなかすかせて帰ってくるかなぁ。
森の誘惑の声が聞こえる。
ええい。
メイは、覚悟を決めた。
勢いよく椅子を立ち上がると、こういう日は何もかもダメなのか、椅子がガターンと後ろに倒れて、彼女を驚かせた。
あ。
あした。
メイは、がちがちに肩に力が入っていた。
明日の結婚式のことを考えると、昨日よりももっと眠れないのだ。
おかげで今日も、いろんなものをひっくり返してしまった。
カイトが会社に行っててよかった―― が、それらは全部、一緒にいたハルコに目撃された挙げ句、妊婦という立場で彼女だって大変なのに、残りの仕事を奪われてしまった。
はぁ。
おかげで、自己嫌悪もついてくる。
家事に関することだけは、自分が全部やりたかったのに。
『今日はもう、何もしちゃダメよ』
明日の最終確認が全て終わって帰る時、ハルコがそう釘を刺した。
おかげで、夕食も作っていない。
何度も作ろうと思い立ち、調理場までは行ったのだが、今日のその場所は、夜の森のように彼女に優しくなかったのだ。
多分、もうすぐカイトが帰ってくるだろう。
その時に、夕食も作っていない彼女をどう思うだろうか。
それ以前に、どう説明をしよう。
緊張しすぎて、何も手につきませんでした?
何て、マヌケな言い訳だろう。
う。
ダイニングの席に座ってため息をついていた彼女は、ちらちらと夜の森の方を見る。
『夜の森にだけには、行ってはいけないよ』
そう禁じられた、おとぎ話の主人公の気分だ。
言いつけを破ったら、大体不幸になるのである。
おなかすかせて帰ってくるかなぁ。
森の誘惑の声が聞こえる。
ええい。
メイは、覚悟を決めた。
勢いよく椅子を立ち上がると、こういう日は何もかもダメなのか、椅子がガターンと後ろに倒れて、彼女を驚かせた。