冬うらら2
結婚式
控室
□75
当日は朝から。
窮屈な、しかも似合わない衣装の中にぎゅうぎゅうに押し込められ、ついでに新郎控え室に押し込められたまま、カイトは軟禁状態だった。
部屋の端の方では、石油ストーブがちらちら揺れている。
レトロな教会だった。
同じ部屋にいるのは、もう見飽きた連中の顔。
ソウマとシュウだ。
シュウにいたっては、一体何日ぶりに顔を合わせるだろうか。
納期前で忙しかったこともあるが、同居人にはあるまじき久しぶりさであった。
ケイタイで、何度か声を聞いただけだったが、相変わらずロウでもハイでもない、一定のテンションを保ち続けているようである。
もう二度と、鏡など覗き込みたくないという意気込みを表すように、カイトはそれに背中を向けて座ったまま、イライラし続けていた。
かろうじて、まだきっちりとはめていない、ブラさげた蝶ネクタイが、彼の反逆の証。
新郎の支度など、実際は結構早いものだ。
そして、もうかれこれ1時間近く、メイとひきはがされたままである。
いくらなんでも、そろそろ綺麗なウェディングドレス姿が出来上がっているだろう―― ただ、この教会の控え室は意地悪な作りになっていて、教会の建物を挟んで両側に離されていた。
彼女に会いたければ、教会の前を横切って駆けていかなければならない。
のだが。
そろそろ表の方では、招待客の連中が集まり始めたようなざわめきが聞こえてきた。
クソッ。
イライライライラ。
会えない環境を作られるのは、イヤだった。
ほんのわずかな時間であれ、他人に強制されて引き離されているのは、トラウマのせいか、彼の心をひどくかき乱すのだ。
抱きしめさせろ、とは言わないが。
ガタッ。
耐えきれずに、カイトは立ち上がった。
そして、大股で出口の方へと向かう。
当日は朝から。
窮屈な、しかも似合わない衣装の中にぎゅうぎゅうに押し込められ、ついでに新郎控え室に押し込められたまま、カイトは軟禁状態だった。
部屋の端の方では、石油ストーブがちらちら揺れている。
レトロな教会だった。
同じ部屋にいるのは、もう見飽きた連中の顔。
ソウマとシュウだ。
シュウにいたっては、一体何日ぶりに顔を合わせるだろうか。
納期前で忙しかったこともあるが、同居人にはあるまじき久しぶりさであった。
ケイタイで、何度か声を聞いただけだったが、相変わらずロウでもハイでもない、一定のテンションを保ち続けているようである。
もう二度と、鏡など覗き込みたくないという意気込みを表すように、カイトはそれに背中を向けて座ったまま、イライラし続けていた。
かろうじて、まだきっちりとはめていない、ブラさげた蝶ネクタイが、彼の反逆の証。
新郎の支度など、実際は結構早いものだ。
そして、もうかれこれ1時間近く、メイとひきはがされたままである。
いくらなんでも、そろそろ綺麗なウェディングドレス姿が出来上がっているだろう―― ただ、この教会の控え室は意地悪な作りになっていて、教会の建物を挟んで両側に離されていた。
彼女に会いたければ、教会の前を横切って駆けていかなければならない。
のだが。
そろそろ表の方では、招待客の連中が集まり始めたようなざわめきが聞こえてきた。
クソッ。
イライライライラ。
会えない環境を作られるのは、イヤだった。
ほんのわずかな時間であれ、他人に強制されて引き離されているのは、トラウマのせいか、彼の心をひどくかき乱すのだ。
抱きしめさせろ、とは言わないが。
ガタッ。
耐えきれずに、カイトは立ち上がった。
そして、大股で出口の方へと向かう。