冬うらら2
●8
あのままだったら。
メイは、真っ赤になったままお茶を入れていた。
もしも、あのままドアを開けなければ、きっとソウマたちは彼らが今現在、まさしくそういう状況であると勘違いしたに違いなかった。
そんな誤解でもされようものなら、余りの恥ずかしさに、次から顔を合わせられなくなってしまいそうだったのだ。
だから、大慌てでドアを開けに行った。
親しくつきあい続ける相手だけに、変な女だなんて思われなくなかったのだ。
お茶をいれながらも、上の方の様子が気になる。
どうにも、ソウマという人間は、カイトをイライラさせることにかけては天下一品のようで。
彼がいる時に、カイトが穏やかだった試しがない。
いまにも怒鳴り声が、上から聞こえてきそうでヒヤヒヤしていた。
とにかく、急いでお茶をいれてから2階に戻る。
「お待たせしました…」
おそるおそる中に入る。
しかし、予想していた怒鳴り声はなかった。
じゃあ仲良くしているのかいうと―― 入った瞬間に、まだ空気が殺伐としているのが手に取るように分かって困ってしまう。
パソコンに向かっているカイトの背中が、訪問客に対して、かなり強い威嚇を表していた。
どうにも、カイトという難攻不落の要塞を攻めあぐねているようなソウマと目が合う。
その瞬間、彼はにっこりと笑った。
今までの『やれやれ』という表情が一転したのに、メイは驚いた。
どうして、自分の顔を見るや笑ったのか分からなかったからだ。
顔に、何かついてるのかな。
両手がトレイでふさがっているので、ぱぱっと顔を触って確かめるワケにもいかない。
とにかく、これをテーブルに置こうと、彼女はお客様の方に近づいていったのだった。
その時。
ハルコが、動いたのが目の端に映った。
しかし、気にとめていなかったら。
「きゃっ!」
いきなり。
視界が一転して、メイは硬直してしまった。
あのままだったら。
メイは、真っ赤になったままお茶を入れていた。
もしも、あのままドアを開けなければ、きっとソウマたちは彼らが今現在、まさしくそういう状況であると勘違いしたに違いなかった。
そんな誤解でもされようものなら、余りの恥ずかしさに、次から顔を合わせられなくなってしまいそうだったのだ。
だから、大慌てでドアを開けに行った。
親しくつきあい続ける相手だけに、変な女だなんて思われなくなかったのだ。
お茶をいれながらも、上の方の様子が気になる。
どうにも、ソウマという人間は、カイトをイライラさせることにかけては天下一品のようで。
彼がいる時に、カイトが穏やかだった試しがない。
いまにも怒鳴り声が、上から聞こえてきそうでヒヤヒヤしていた。
とにかく、急いでお茶をいれてから2階に戻る。
「お待たせしました…」
おそるおそる中に入る。
しかし、予想していた怒鳴り声はなかった。
じゃあ仲良くしているのかいうと―― 入った瞬間に、まだ空気が殺伐としているのが手に取るように分かって困ってしまう。
パソコンに向かっているカイトの背中が、訪問客に対して、かなり強い威嚇を表していた。
どうにも、カイトという難攻不落の要塞を攻めあぐねているようなソウマと目が合う。
その瞬間、彼はにっこりと笑った。
今までの『やれやれ』という表情が一転したのに、メイは驚いた。
どうして、自分の顔を見るや笑ったのか分からなかったからだ。
顔に、何かついてるのかな。
両手がトレイでふさがっているので、ぱぱっと顔を触って確かめるワケにもいかない。
とにかく、これをテーブルに置こうと、彼女はお客様の方に近づいていったのだった。
その時。
ハルコが、動いたのが目の端に映った。
しかし、気にとめていなかったら。
「きゃっ!」
いきなり。
視界が一転して、メイは硬直してしまった。