冬うらら2
☆
そんな、今日の主賓に声をかけようとするより先に。
「まあ!」
ハルコが、驚いた声をあげた。
何事かと思って、彼女の方を見ると―― 驚きの後に、おかしくてしょうがないという顔になって。
「また、カイトくんをからかったわね」
妻は、お見通しと言うわけだ。
一体、どんな証拠が残っているかと思いきや、パンパンとソウマの背中を叩きだした。
「くっきり残ってるわよ…27センチの足形が」
まったくもう。
苦笑混じりに、かなりしつこく背中をはたかれた、ということは、予想以上の足形だったワケだ。
身長は違うのに、ソウマと同じ足のサイズというところが、生意気なカイトらしかった。
「いや…まあ、その…」
詳しい経過は、家に帰ってゆっくり話してやろうと思っていた。
挙式前の新婦に、大きな声で聞かせる内容ではないからだ。
『蹴られない程度にからかう術を知っているくせに、いつもギリギリまで踏み込んでいくのが、あなたの悪いクセよ』
カイトに、予定よりも大きな反撃を食らってしまった時は、いつもそういう言葉でたしなめられる。
しかし、このギリギリがやめられないのだ。
ブルドックのつながれている鎖の半径に、どこまで近づけるか。
そんな、子供時代の名残だろうか。
ソウマの中にも、まだまだ子供じみた感性が残っているようである。
いや。
まだ子供時代の方が、やっていることはおとなしかったような気がする。
何でもそつなくこなすのが、自分の対外的なスタイルで、無意識にそれを保持しようとし続けてきたのだ。
ソウマの中にも、自分が求める『かっこいい男』、というデザインは存在するのである。
それを求めているうちに、こんな男になっていたのだ。
そんな、今日の主賓に声をかけようとするより先に。
「まあ!」
ハルコが、驚いた声をあげた。
何事かと思って、彼女の方を見ると―― 驚きの後に、おかしくてしょうがないという顔になって。
「また、カイトくんをからかったわね」
妻は、お見通しと言うわけだ。
一体、どんな証拠が残っているかと思いきや、パンパンとソウマの背中を叩きだした。
「くっきり残ってるわよ…27センチの足形が」
まったくもう。
苦笑混じりに、かなりしつこく背中をはたかれた、ということは、予想以上の足形だったワケだ。
身長は違うのに、ソウマと同じ足のサイズというところが、生意気なカイトらしかった。
「いや…まあ、その…」
詳しい経過は、家に帰ってゆっくり話してやろうと思っていた。
挙式前の新婦に、大きな声で聞かせる内容ではないからだ。
『蹴られない程度にからかう術を知っているくせに、いつもギリギリまで踏み込んでいくのが、あなたの悪いクセよ』
カイトに、予定よりも大きな反撃を食らってしまった時は、いつもそういう言葉でたしなめられる。
しかし、このギリギリがやめられないのだ。
ブルドックのつながれている鎖の半径に、どこまで近づけるか。
そんな、子供時代の名残だろうか。
ソウマの中にも、まだまだ子供じみた感性が残っているようである。
いや。
まだ子供時代の方が、やっていることはおとなしかったような気がする。
何でもそつなくこなすのが、自分の対外的なスタイルで、無意識にそれを保持しようとし続けてきたのだ。
ソウマの中にも、自分が求める『かっこいい男』、というデザインは存在するのである。
それを求めているうちに、こんな男になっていたのだ。