冬うらら2
☆
リハーサルの時も、緊張していたのは分かっていた。
腕を貸すものの、ぎこちない動きで横を歩いてくるので精一杯という様子だった。
やはり、式の前にちょっとでも、カイトと会わせておいた方がよかったのだろうか。
コホン、と一つ咳払いをして。
「大丈夫だ…カイトの顔を見たら、落ち着くさ」
そうして、彼女に腕を差し出した。
ハルコ公認の、短時間レンタルである。
白い手袋に包まれた指が、こわごわ触れてきて。
そのまま、気をつけてエスコートする。
視線の端で、ハルコにアイコンタクトを忘れなかった。
小さな歩幅で、ゆっくりと歩き出す。
彼女が動くたびに、ドレスがふわりふわりとソウマにぶつかってきた。
カイトが、うっかり裾を踏んづけたりしないかが心配だった。
おっと。
いつまでも、ニヤニヤしているワケには行かない。
控え室を出ると、フラワーガールの女の子が、寒そうにぴょんぴょん跳ねていた。
花嫁さんを発見するなり、更に興奮してしまったようだ。
その子の母親が、子供の溢れるパワーを押さえ込むので大変そうだった。
しかし、小さなレディは、綺麗な花嫁をすぐ側まで連れていくと、不意にしおらしくなってしまった。
きっとこの子の頭の中に、『花嫁さん』へのあこがれを、くっきり焼き付けたに違いなかった。
ちょっと遠巻きにしているのは、リングベアラーの男の子。
ソウマが預かっていたリングは、既に渡してある。
そんな大事なものを預かったまま、落ち着かなそうに―― しかし、その目はフラワーガールを見ていた。
けれども、声をかけられない様子だ。
いずこも同じ、というところか。
どこにでも、そういう性格の人間はいるものだ。
リハーサルの時も、緊張していたのは分かっていた。
腕を貸すものの、ぎこちない動きで横を歩いてくるので精一杯という様子だった。
やはり、式の前にちょっとでも、カイトと会わせておいた方がよかったのだろうか。
コホン、と一つ咳払いをして。
「大丈夫だ…カイトの顔を見たら、落ち着くさ」
そうして、彼女に腕を差し出した。
ハルコ公認の、短時間レンタルである。
白い手袋に包まれた指が、こわごわ触れてきて。
そのまま、気をつけてエスコートする。
視線の端で、ハルコにアイコンタクトを忘れなかった。
小さな歩幅で、ゆっくりと歩き出す。
彼女が動くたびに、ドレスがふわりふわりとソウマにぶつかってきた。
カイトが、うっかり裾を踏んづけたりしないかが心配だった。
おっと。
いつまでも、ニヤニヤしているワケには行かない。
控え室を出ると、フラワーガールの女の子が、寒そうにぴょんぴょん跳ねていた。
花嫁さんを発見するなり、更に興奮してしまったようだ。
その子の母親が、子供の溢れるパワーを押さえ込むので大変そうだった。
しかし、小さなレディは、綺麗な花嫁をすぐ側まで連れていくと、不意にしおらしくなってしまった。
きっとこの子の頭の中に、『花嫁さん』へのあこがれを、くっきり焼き付けたに違いなかった。
ちょっと遠巻きにしているのは、リングベアラーの男の子。
ソウマが預かっていたリングは、既に渡してある。
そんな大事なものを預かったまま、落ち着かなそうに―― しかし、その目はフラワーガールを見ていた。
けれども、声をかけられない様子だ。
いずこも同じ、というところか。
どこにでも、そういう性格の人間はいるものだ。