冬うらら2
☆
ヴァージンロードを逆走してくる新郎の顔には、『触んな!』とデカデカと書いてあった。
しかも、筆文字で。
オレにまで、嫉妬するな。
爆笑と苦笑が、同時に込み上げてきて、ソウマはそれをこらえるのに大きな苦労を強いられた。
嫉妬対象から、ハルコの次くらいに外されてもいいくらいだ。
男の中で、シュウとは別の意味で、こんなにも無害な人間はいないではないか。
自分が、ハルコ以外の女性に心を奪われる日がくるなんて、想像だにできなかった。
などと、妻への愛を再確認している間に、キングコングは眼前にまで迫り、ひったくるように新婦を奪ってしまった。
このまま、抱えてビルを登って欲しいものだ。
やれやれ。
カイトだって、一応我慢しようと色々努力はしていたのだろうが、早速キレてしまった。
まあ、そのまま逆走して教会から逃亡しなかった分、理性が残っているのだろう。
いま逃げられると、さすがに後のフォローは出来ないので、ヨシとするか、とソウマは自分を納得させた。
納得させる頃には、走り抜けた新郎新婦は、祭壇の前まで到着してしまった。
いろんな最速新記録に、挑戦しているのではないかと思うくらいだ。
出会って、結婚するまでの期間。
ヴァージンロードの川を、渡りきるまでの時間。
短気なカイトにかかれば、すべて早回しだ。
タキシードの背中に、『とっとと始めろ!』とやはり大きな文字で書いてあり―― 結婚式自体が、波乱に包まれることを予感させた。
後で、神父様には十分お詫びをしておかないといけないだろう。
そして、言われるのだ。
『こんな式は、初めてですよ』と。
そんなの。
ソウマだって初めてだった。
ヴァージンロードを逆走してくる新郎の顔には、『触んな!』とデカデカと書いてあった。
しかも、筆文字で。
オレにまで、嫉妬するな。
爆笑と苦笑が、同時に込み上げてきて、ソウマはそれをこらえるのに大きな苦労を強いられた。
嫉妬対象から、ハルコの次くらいに外されてもいいくらいだ。
男の中で、シュウとは別の意味で、こんなにも無害な人間はいないではないか。
自分が、ハルコ以外の女性に心を奪われる日がくるなんて、想像だにできなかった。
などと、妻への愛を再確認している間に、キングコングは眼前にまで迫り、ひったくるように新婦を奪ってしまった。
このまま、抱えてビルを登って欲しいものだ。
やれやれ。
カイトだって、一応我慢しようと色々努力はしていたのだろうが、早速キレてしまった。
まあ、そのまま逆走して教会から逃亡しなかった分、理性が残っているのだろう。
いま逃げられると、さすがに後のフォローは出来ないので、ヨシとするか、とソウマは自分を納得させた。
納得させる頃には、走り抜けた新郎新婦は、祭壇の前まで到着してしまった。
いろんな最速新記録に、挑戦しているのではないかと思うくらいだ。
出会って、結婚するまでの期間。
ヴァージンロードの川を、渡りきるまでの時間。
短気なカイトにかかれば、すべて早回しだ。
タキシードの背中に、『とっとと始めろ!』とやはり大きな文字で書いてあり―― 結婚式自体が、波乱に包まれることを予感させた。
後で、神父様には十分お詫びをしておかないといけないだろう。
そして、言われるのだ。
『こんな式は、初めてですよ』と。
そんなの。
ソウマだって初めてだった。