冬うらら2
◎
まあまあ。
メイドオブオーナーは、呆気に取られた。
ヴァージンロードを逆走してまで、新婦を奪回しようという男が現れたのである。
着慣れないタキシードと、いやな環境に追いつめられて、逆上したのではないかと、一瞬ハルコは心配になってしまった。
いくら逆上したとしても、メイを置き去りにしていく男ではない。
ばっと、ソウマから花嫁の腕を掴むと。
はぁ。
本当に。
自分のものにしたくてしょうがないのねぇ。
早速、予定外の事件が起きて、ハルコは笑みを浮かべてしまった。
ただの過保護や、猫可愛がりとは違う。
カイトは、彼女の中を自分でいっぱいにしたいのだ。
いっぱいにしたい―― 要するに、いまはまだいっぱいにしていないと思っているのである。
どう見ても。
ハルコは、どうして分からないのか、不思議でしょうがなかった。
あんなにメイは、彼のことを思っていて。
おそらく、カイトが希望するボーダーラインくらい、とっくに越えるほど好きでいっぱいになっているというのに。
そして、逆も然りだ。
カイトの方が、もう明らかに彼女でいっぱいになっている。
いままで持っていた価値基準のすべてが、大きく変わってしまったのだ。
それなのに本人たちだけが、相手がいつかどこかに連れ去られてしまうのではないかという、心配ばかりしているのである。
不思議なものねぇ。
あんなに、お互い熱烈に思い合っているのに、どこか噛み合っていないなんて。
まあ、もう少ししたら落ち着くでしょう。
ふふふ、とハルコは笑った。
せっかく籍は入れたのに、結婚式を挙げるための準備で、ロクに穏やかな二人の時間も取れなかったのである。
きっと、新婚旅行から帰ってくる頃には、少しは落ち着くに違いなかった。
1週間二人きりなのだ。
行き先は、南の島―― の前に、ヴァージンロードを駆け抜けた夫婦1年生が、この式を無事やり遂げることを考えるのが先決のようだった。
まあまあ。
メイドオブオーナーは、呆気に取られた。
ヴァージンロードを逆走してまで、新婦を奪回しようという男が現れたのである。
着慣れないタキシードと、いやな環境に追いつめられて、逆上したのではないかと、一瞬ハルコは心配になってしまった。
いくら逆上したとしても、メイを置き去りにしていく男ではない。
ばっと、ソウマから花嫁の腕を掴むと。
はぁ。
本当に。
自分のものにしたくてしょうがないのねぇ。
早速、予定外の事件が起きて、ハルコは笑みを浮かべてしまった。
ただの過保護や、猫可愛がりとは違う。
カイトは、彼女の中を自分でいっぱいにしたいのだ。
いっぱいにしたい―― 要するに、いまはまだいっぱいにしていないと思っているのである。
どう見ても。
ハルコは、どうして分からないのか、不思議でしょうがなかった。
あんなにメイは、彼のことを思っていて。
おそらく、カイトが希望するボーダーラインくらい、とっくに越えるほど好きでいっぱいになっているというのに。
そして、逆も然りだ。
カイトの方が、もう明らかに彼女でいっぱいになっている。
いままで持っていた価値基準のすべてが、大きく変わってしまったのだ。
それなのに本人たちだけが、相手がいつかどこかに連れ去られてしまうのではないかという、心配ばかりしているのである。
不思議なものねぇ。
あんなに、お互い熱烈に思い合っているのに、どこか噛み合っていないなんて。
まあ、もう少ししたら落ち着くでしょう。
ふふふ、とハルコは笑った。
せっかく籍は入れたのに、結婚式を挙げるための準備で、ロクに穏やかな二人の時間も取れなかったのである。
きっと、新婚旅行から帰ってくる頃には、少しは落ち着くに違いなかった。
1週間二人きりなのだ。
行き先は、南の島―― の前に、ヴァージンロードを駆け抜けた夫婦1年生が、この式を無事やり遂げることを考えるのが先決のようだった。