冬うらら2

「あなたはいま、この女性と結婚し、神の定めに従って夫婦となろうとしています」

 朗々とした声が、腕をつなげたままの2人に降り注ぐ。

 神父様の視線が、カイトの方に注がれているのは分かるが、彼女は同じようにそっちを見ることが出来なかった。

 ただ、腕から伝わる感触だけで、どういう気持ちなのかを計ろうとする。

「あなたは、病めるときも、健やかなときも、豊かなるときも、貧しきときも、この女性を愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命の限り、かたく節操を守ることを誓いますか?」

 トクン。

 神父様が、一つ一つの項目を、まるでカイトに噛んで含めるようにゆっくり綴っていく。

 周囲の音が、いきなり聞こえなくなったような気がする。

 聞こえるのは、神父様の声と、自分の心臓の音。

 腕を掴んでいるカイトの指が、ふっと動いた。

 メイは、目を閉じた。

 彼が。

 彼が、ぎゅっと腕を握る手に力を込めたのだ。


「誓います」


 メイは―― 涙をこらえた。
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