冬うらら2
□
ぎゅっと、彼女の腕を掴んだまま。
その手に力を込めて。
「誓います」
絶対に、幸せにする。
それ以外は、ありえねぇ。
『好き』を荒れ狂わせたまま、カイトは奥歯を強く噛んだ。
※
「続きまして、新婦に結婚の誓約をしていただきます…」
進行の声に、カイトはビクッとしてしまった。
そうなのだ。
誓うのは、自分だけではないのである。
メイも、この場で同じ血判証に判を押すのだ。
大丈夫だ―― 自分に言い聞かせる。
この式は、彼女が望んだものなのだ。
それに、これまで自分に、好きの気持ちも伝えてくれたのだ。
第一、既に社会的には、婚姻関係であることに間違いなかった。
だから、今更こんなところで、覆されるはずなどないのである。
それは、分かっているのに。
どうして、こんなにまで胸が騒ぐのか。
「あなたはいま、この男性と結婚し、神の定めに従って夫婦となろうとしています」
この、神父の諭すような声がいけない。
周囲の、シンと静まり返った空気がいけない。
彼を不安にさせる、何もかもがいけない。
どうして、こんな大勢の前で、気持ちを確認させようとするのか。
メイが、自分に向けて言ってくれた『好き』の言葉の重さを、みんなで何グラムあるのか眺めて、外野のクセに白か黒か判定されているような気がする。
白いヒツジも黒いヒツジも、結局ラム・チョップになってしまえば、分からないというのに。
ぎゅっと、彼女の腕を掴んだまま。
その手に力を込めて。
「誓います」
絶対に、幸せにする。
それ以外は、ありえねぇ。
『好き』を荒れ狂わせたまま、カイトは奥歯を強く噛んだ。
※
「続きまして、新婦に結婚の誓約をしていただきます…」
進行の声に、カイトはビクッとしてしまった。
そうなのだ。
誓うのは、自分だけではないのである。
メイも、この場で同じ血判証に判を押すのだ。
大丈夫だ―― 自分に言い聞かせる。
この式は、彼女が望んだものなのだ。
それに、これまで自分に、好きの気持ちも伝えてくれたのだ。
第一、既に社会的には、婚姻関係であることに間違いなかった。
だから、今更こんなところで、覆されるはずなどないのである。
それは、分かっているのに。
どうして、こんなにまで胸が騒ぐのか。
「あなたはいま、この男性と結婚し、神の定めに従って夫婦となろうとしています」
この、神父の諭すような声がいけない。
周囲の、シンと静まり返った空気がいけない。
彼を不安にさせる、何もかもがいけない。
どうして、こんな大勢の前で、気持ちを確認させようとするのか。
メイが、自分に向けて言ってくれた『好き』の言葉の重さを、みんなで何グラムあるのか眺めて、外野のクセに白か黒か判定されているような気がする。
白いヒツジも黒いヒツジも、結局ラム・チョップになってしまえば、分からないというのに。