冬うらら2
◎
ああ、よかった。
とりあえず、ハルコは胸をなでおろした。
神父が、何とか場を静めて進行してくれたのである。
まあ職業柄、非常に気は長いだろうから、いきなり式そのものが取りやめになる、などということは心配していなかったが。
そういえば。
自分たちも、あの場所で誓いの言葉を交わしたのだ。
少し離れたソウマの方を見やると、ようやく新婦の父親役から、ベストマンの位置と表情に戻った彼が、軽く視線を合わせてくれた。
やれやれ、と言いたげな表情だ。
クスッ。
その表情に、笑みが浮かび上がってくる。
カイトほど激しくはなくても、ソウマだって嫉妬くらいするだろうに。
お互いがお互い以外の人にも、つい優しくしてしまう性格のせいで、表面上は心配や嫉妬をしていないような素振りでも―― 実は、胸を騒がせていたということが過去に何度もあった。
ソウマは、チョコレートをたくさんもらうタイプだった。
それでも、ハルコが用意したものにだけは、特別の反応を返してくれた。
誰にでも優しい表情がちょっと崩れて、困ったりあせったり、でも平静を保とうとしたり。
だからこそ、自分に言い聞かせていたのだ。
嫉妬する必要はないんだわ、と。
でも、学校の裏庭で告白されているのを目撃してしまうと、その場を遠く離れながらも、気分が沈んだりしたのだ。
優等生で、人にも優しい私。
その内側では、ずっとソウマに胸を騒がせていた。
初めて、屋根の上にいる彼を見た時から。
ああ、よかった。
とりあえず、ハルコは胸をなでおろした。
神父が、何とか場を静めて進行してくれたのである。
まあ職業柄、非常に気は長いだろうから、いきなり式そのものが取りやめになる、などということは心配していなかったが。
そういえば。
自分たちも、あの場所で誓いの言葉を交わしたのだ。
少し離れたソウマの方を見やると、ようやく新婦の父親役から、ベストマンの位置と表情に戻った彼が、軽く視線を合わせてくれた。
やれやれ、と言いたげな表情だ。
クスッ。
その表情に、笑みが浮かび上がってくる。
カイトほど激しくはなくても、ソウマだって嫉妬くらいするだろうに。
お互いがお互い以外の人にも、つい優しくしてしまう性格のせいで、表面上は心配や嫉妬をしていないような素振りでも―― 実は、胸を騒がせていたということが過去に何度もあった。
ソウマは、チョコレートをたくさんもらうタイプだった。
それでも、ハルコが用意したものにだけは、特別の反応を返してくれた。
誰にでも優しい表情がちょっと崩れて、困ったりあせったり、でも平静を保とうとしたり。
だからこそ、自分に言い聞かせていたのだ。
嫉妬する必要はないんだわ、と。
でも、学校の裏庭で告白されているのを目撃してしまうと、その場を遠く離れながらも、気分が沈んだりしたのだ。
優等生で、人にも優しい私。
その内側では、ずっとソウマに胸を騒がせていた。
初めて、屋根の上にいる彼を見た時から。