冬うらら2
●
とにかくこのカメラの波から、一秒でも速く抜け出たいに違いない。
だから、こんなに慌てているのだ。
「カイト…」
ソウマの声が、カメラの波の中から聞こえた。
何かを、忠告しようとしている声だ。
しかし―― 逆効果だったようである。
彼は、かたくなに声の方を見ようともせず、ぐっと彼女の指に指輪をはめたのだ。
あっという間の出来事だった。
フラッシュが、いくらかまたたいたが、果たして決定的な瞬間を収めたかどうかは疑問である。
「あの、新郎さん…」
「社長…」
カメラマンたちの中から、それぞれの呼びかけでカイトに何か言おうとしているようだったが、彼はもう何も受け付けないという険しい表情をあからさまにしている。
ど、どうしよう。
これからどうしたらいいのか分からなかったメイだったが、無邪気なリングベアラーの男の子が、周囲の状況も知らない様子で、教えられた通りにあと一つの指輪を彼女に運んでくれた。
戸惑ったままの指で、それを受け取る。
「え、えー…それでは、次に新婦から新郎に指輪を交換いたします」
進行係も、このまま続けていかなければならないと思ったらしい。
「ゆっくりね、ゆっくりはめて!」
カメラマンたちは、どうやら次に期待をかけることに決めたらしい。
かなり、はっきりとした音量で指示が飛ぶ。
とにかくこのカメラの波から、一秒でも速く抜け出たいに違いない。
だから、こんなに慌てているのだ。
「カイト…」
ソウマの声が、カメラの波の中から聞こえた。
何かを、忠告しようとしている声だ。
しかし―― 逆効果だったようである。
彼は、かたくなに声の方を見ようともせず、ぐっと彼女の指に指輪をはめたのだ。
あっという間の出来事だった。
フラッシュが、いくらかまたたいたが、果たして決定的な瞬間を収めたかどうかは疑問である。
「あの、新郎さん…」
「社長…」
カメラマンたちの中から、それぞれの呼びかけでカイトに何か言おうとしているようだったが、彼はもう何も受け付けないという険しい表情をあからさまにしている。
ど、どうしよう。
これからどうしたらいいのか分からなかったメイだったが、無邪気なリングベアラーの男の子が、周囲の状況も知らない様子で、教えられた通りにあと一つの指輪を彼女に運んでくれた。
戸惑ったままの指で、それを受け取る。
「え、えー…それでは、次に新婦から新郎に指輪を交換いたします」
進行係も、このまま続けていかなければならないと思ったらしい。
「ゆっくりね、ゆっくりはめて!」
カメラマンたちは、どうやら次に期待をかけることに決めたらしい。
かなり、はっきりとした音量で指示が飛ぶ。