冬うらら2
☆
こんな、指輪の交換を見たのは初めてだ。
さすがにソウマは、眉間に一本シワを入れてしまった。
カイトは、順序を何もかも間違えていたのである。
手袋も取り忘れる、ヴェールも上げ忘れる。
挙げ句、一瞬にして指輪をはめて終わりなのだ。
カイトの態度に、クレームをつけようとしていたソウマは、そのためシャッターチャンスを逃してしまったのである。
速攻どころの話ではなかった。
そう思っているのは、ソウマだけではないようだ。
周囲の連中も、余りの出来事に目をむいている。
そりゃないじゃないか、と。
普通ならば、ここはわざともったいぶってゆっくりはめるのが、カメラマンへのサービスである。
それを、カイトは全て台無しにしてくれたのだ。
いくら恥ずかしいからって、大事な記念写真を―― と思うのが、一般人だが、その気持ちは彼には通じないだろう。
分かっていたとはいえ。
ソウマの苦笑は、途切れることはなかった。
しかし、いまは気持ちを切り替えなければならない。
今度は、新婦から新郎への指輪をはめる儀式が残っていたのだ。
せめてこっちくらいは、綺麗に撮ってやろう。
少なくとも、それはメイのためにはなるはずだった。
今度は、周囲のカメラマンたちも遠慮しない。
シャッターチャンスを逃してなるものかという意気込みが、新婦への指示として飛びまくる。
が。
ヴェールを上げるように言うのが遅かった。
おかげで。
写真自体は綺麗に取れた―― のに、映っているのは、ぶすったれた新郎の顔だけとなってしまったのだった。
こんな、指輪の交換を見たのは初めてだ。
さすがにソウマは、眉間に一本シワを入れてしまった。
カイトは、順序を何もかも間違えていたのである。
手袋も取り忘れる、ヴェールも上げ忘れる。
挙げ句、一瞬にして指輪をはめて終わりなのだ。
カイトの態度に、クレームをつけようとしていたソウマは、そのためシャッターチャンスを逃してしまったのである。
速攻どころの話ではなかった。
そう思っているのは、ソウマだけではないようだ。
周囲の連中も、余りの出来事に目をむいている。
そりゃないじゃないか、と。
普通ならば、ここはわざともったいぶってゆっくりはめるのが、カメラマンへのサービスである。
それを、カイトは全て台無しにしてくれたのだ。
いくら恥ずかしいからって、大事な記念写真を―― と思うのが、一般人だが、その気持ちは彼には通じないだろう。
分かっていたとはいえ。
ソウマの苦笑は、途切れることはなかった。
しかし、いまは気持ちを切り替えなければならない。
今度は、新婦から新郎への指輪をはめる儀式が残っていたのだ。
せめてこっちくらいは、綺麗に撮ってやろう。
少なくとも、それはメイのためにはなるはずだった。
今度は、周囲のカメラマンたちも遠慮しない。
シャッターチャンスを逃してなるものかという意気込みが、新婦への指示として飛びまくる。
が。
ヴェールを上げるように言うのが遅かった。
おかげで。
写真自体は綺麗に取れた―― のに、映っているのは、ぶすったれた新郎の顔だけとなってしまったのだった。