冬うらら2

 ここで、メイを怖がらせるような態度を取ってどうするのか。

 いまの言葉を聞いた時点で、カイトの中では、お願いを聞き入れることは決定していたのだ。

 既に、その次のステップに入っていたのである。

 しかし、やはり言葉が足りなかったのだろう。

 彼女には、否定に近いように聞こえたのかもしれない。

「明日も、明後日も…一日中空いてる」

 だから。

 早く内容を言ってくれ。

 カイトは、一体どういう『お願い』なのか、知りたくてしょうがなかったのだ。

 早く、試験内容を教えて欲しかった。

 その試験の結果如何によっては、彼女をどのくらい幸せにできたかが、見えるかもしれないのだから。

「えっと…あの……お引っ越し、したいの」

 彼女は、言いづらそうな顔のまま、ようやく小さな声で言った。


 引っ越し????


 一瞬にして、カイトは汗をかいてしまった。
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