冬うらら2
☆
ふっふっふ、やっと来たか。
ソウマは、内心で悪人笑いをした。
さっきの指輪の一件で、少々心が狭くなっていたので、ここで盛大にカイトに壊れてもらおうと思ったのである。
式場に入る前に、からかいを一つ。
その代償として、彼は背中に足形をプレゼントされてしまった。
ここで、カイトがその言葉を思い出すだろうことは、容易に想像できる。
その言葉通りにならないように、葛藤するかと思うと。
カメラを抱えたまま、ソウマは緩みそうになる口元を必死で押さえたのだった。
さて。
今度は、一瞬で終わらされないように、ファインダーを覗き込んだ。
ヴェールを上げることへの指示、というのは必要ないはずだ。
キスをするには、あれは明らかに邪魔なのだから、さすがのカイトも気づくだろう。
お、覚悟を決めているな。
汗をかきながらも、カイトがぐっと新婦の方に向き直った。
そして、次にようやくヴェールに気づいたらしい。
傍目にも分かるほど、ハッとした顔をしたのだ。
どうやら、式の正常な進行を思い出したようだ。
もう遅いぞ。
あきらめろ。
さっきの指輪の交換が、そのせいでかなり台無しになったことに、今更気づいてももう後戻りは出来ないのだ。
せいぜい後悔してろ、と内心で舌を出すだけである。
しかし、結局ソウマは満面の笑みとなったのだ。
彼女のヴェールを持ち上げた瞬間―― ファインダーの中のカイトが硬直したのが分かったのである。
さて。
オレの忠告は覚えてるかな?
シャッターを押す指が、うずうずしてしょうがなかった。
ふっふっふ、やっと来たか。
ソウマは、内心で悪人笑いをした。
さっきの指輪の一件で、少々心が狭くなっていたので、ここで盛大にカイトに壊れてもらおうと思ったのである。
式場に入る前に、からかいを一つ。
その代償として、彼は背中に足形をプレゼントされてしまった。
ここで、カイトがその言葉を思い出すだろうことは、容易に想像できる。
その言葉通りにならないように、葛藤するかと思うと。
カメラを抱えたまま、ソウマは緩みそうになる口元を必死で押さえたのだった。
さて。
今度は、一瞬で終わらされないように、ファインダーを覗き込んだ。
ヴェールを上げることへの指示、というのは必要ないはずだ。
キスをするには、あれは明らかに邪魔なのだから、さすがのカイトも気づくだろう。
お、覚悟を決めているな。
汗をかきながらも、カイトがぐっと新婦の方に向き直った。
そして、次にようやくヴェールに気づいたらしい。
傍目にも分かるほど、ハッとした顔をしたのだ。
どうやら、式の正常な進行を思い出したようだ。
もう遅いぞ。
あきらめろ。
さっきの指輪の交換が、そのせいでかなり台無しになったことに、今更気づいてももう後戻りは出来ないのだ。
せいぜい後悔してろ、と内心で舌を出すだけである。
しかし、結局ソウマは満面の笑みとなったのだ。
彼女のヴェールを持ち上げた瞬間―― ファインダーの中のカイトが硬直したのが分かったのである。
さて。
オレの忠告は覚えてるかな?
シャッターを押す指が、うずうずしてしょうがなかった。