冬うらら2
♪写真撮影…の頃

「たいくつー!!!」

 ハナは、ベッドの上で暴れ回っていた。

 今日は、平日で仕事だったのだが、昨日までの第一への応援のおかげで、代休になっていたのだ。

 だから、本当ならば昼過ぎまで眠っていてもよかったのだが、結婚式のことが気になって気になって、目が覚めてしまったのである。

「あーあー、今頃どっかの式場で…くやしー!! あたしも見たかったー!!」

 手近にあったクマのぬいぐるみを、ぼかすか殴りつける。

 しかし、これは彼女が買ったものではない。

 誕生日のプレゼントに、ユキがくれたものだ。

 オトメチックな、姉らしいプレゼントである。

 ハナは、2人の姉の誕生日には、モバイルをあげた―― が、使っているかどうかは明らかではない。

 フンパツしたのに。

 そんなことは、今はどうでもいいとして。

 式に出られないというのは、我慢してもいい。

 しかし、披露宴くらい出席したかったのだ。

 あのコウノと、あのコウノの奥さんを、あたしも見たかった~~~!

 やっぱり、誰かの弱味でも握って、招待状を脅し取ればよかったと、穏やかではないことまで考えて後悔してしまったハナだった。

 せめて、どこの式場か聞いておけばよかったー!!

 そうすれば、正式な招待客ではなくても、ちらりとくらい見られたかもしれないのに。

 今のいままで、そんな単純なことに気づかないなんて、と自分で自分のマヌケさを憎んでしまった。

 ばすっ、ぼすっ!

 その腹いせで、ついでにもう何発かクマに、パンチをくれてやっている時に。

「何してるの?」

 バタバタと暴れすぎたのだろう。

 部屋に近づいてくる足音に、ハナは気づかなかった。

 ハッ!

 時すでに遅し。

「あ……」

 クマの顔に拳がめりこんだ状態で、1号──ユキと目が合ってしまった。
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