冬うらら2
ブーケトス
□82
終わった……。
カイトのいまの気持ちは、まさしく「ぐったり」、というのが一番正しかった。
本当に、彼女が望むような理想の式になったかはナゾなのだが、カイトとしては最大限に努力したつもりだった。
片っ端から、穴に足を突っ込んで回ったような気がしないでもないが。
しかし、これで晴れて自由の身になれるに違いない。
とっととこの教会を退場して、窮屈なこの衣装から逃げ出してやると思っていたカイトは―― この後、披露宴があることを、すっかり失念してしまっていた。
しかし。
披露宴の前に、もう一つ二つ、式の続きが残っていたのである。
ブーケトス?
リハーサルでやったことでさえ忘れているカイトだったから、実際やっていないことに関してはまったく分かっていなかった。
「そうよ、花嫁さんがブーケを投げて、それを独身女性が受け取るの…その独身女性が、次の花嫁になると言われているわ」
ご丁寧に、ハルコが解説してくれる。
何となく、聞いたことのあるような話だった。
まあ。
その場合、主役はメイなのだから、自分は何もしなくていいのだろう。
それくらいなら、もうしばらく我慢していてもよかった。
カイトは憮然としながらも、聖堂の入り口まで彼女をエスコートしてきた。
「はい、ここよ」
2人の立ち位置まで、しっかり決められる。
少し高い段差の上で、メイがブーケを軽く握り直す。
責任重大だとでも言わんばかりの、集中したような表情をしていた。
聖堂前では、独身女性の華やかな衣装で群れが出来ている。
わざわざブーケをもらうために集まってきたのだ。
関係ない連中は、脇に除外させられているようである。
その光景に、メイは深呼吸までしていた。
ブーケを受け取った女が、次の花嫁とやらになるかどうかなんて、結局は迷信なのだから、そんなに気合いをいれなくてもよさそうなものなのに。
しかし、そんな彼女さえ愛しい。
終わった……。
カイトのいまの気持ちは、まさしく「ぐったり」、というのが一番正しかった。
本当に、彼女が望むような理想の式になったかはナゾなのだが、カイトとしては最大限に努力したつもりだった。
片っ端から、穴に足を突っ込んで回ったような気がしないでもないが。
しかし、これで晴れて自由の身になれるに違いない。
とっととこの教会を退場して、窮屈なこの衣装から逃げ出してやると思っていたカイトは―― この後、披露宴があることを、すっかり失念してしまっていた。
しかし。
披露宴の前に、もう一つ二つ、式の続きが残っていたのである。
ブーケトス?
リハーサルでやったことでさえ忘れているカイトだったから、実際やっていないことに関してはまったく分かっていなかった。
「そうよ、花嫁さんがブーケを投げて、それを独身女性が受け取るの…その独身女性が、次の花嫁になると言われているわ」
ご丁寧に、ハルコが解説してくれる。
何となく、聞いたことのあるような話だった。
まあ。
その場合、主役はメイなのだから、自分は何もしなくていいのだろう。
それくらいなら、もうしばらく我慢していてもよかった。
カイトは憮然としながらも、聖堂の入り口まで彼女をエスコートしてきた。
「はい、ここよ」
2人の立ち位置まで、しっかり決められる。
少し高い段差の上で、メイがブーケを軽く握り直す。
責任重大だとでも言わんばかりの、集中したような表情をしていた。
聖堂前では、独身女性の華やかな衣装で群れが出来ている。
わざわざブーケをもらうために集まってきたのだ。
関係ない連中は、脇に除外させられているようである。
その光景に、メイは深呼吸までしていた。
ブーケを受け取った女が、次の花嫁とやらになるかどうかなんて、結局は迷信なのだから、そんなに気合いをいれなくてもよさそうなものなのに。
しかし、そんな彼女さえ愛しい。