冬うらら2

 長いコートを着込んだままの、すらっとした女性だ。

 その女性が、ふっとメイの方に視線を向ける。

 にこっと笑った。

 次に、ハルコの方に。

 あっっ!!!!

 ここで、やっと分かった。

 いつもと衣装が全然違うので、すぐには気づかなかったが―― 彼女は、間違いなくあの居酒屋の女将である。

 招待状は、出していなかった。

 その人が、何故かこんなところにいたのだ。

 一体、どこで聞きつけたのか。

 こうしてみると、とても若いというのが分かる。

 それもそうだ。

 ハルコと、同級生という話なのだから。

 あの居酒屋での雰囲気は、職業柄にじみ出てくるものなのだろうか。

「あなたは、もう…」

 ハルコが苦笑しながら、段差を降りてブーケに近づいていく。

「2回ももらってどうするつもり?」

 そんな声が、雪と風に追い立てられるようにメイの耳まで届いて、少し笑ってしまった。

 ハルコの持ってきた、結婚式の写真のことを思い出してしまったのだ。

 きっと彼女は、人よりも2倍幸せになれるに違いなかった。

 好きな人がいると言っていた、女将の言葉を思い出す。

 ハルコとは別方向から、女将の方に近づいてくる長身の男性がいた。

 カイトの、会社関係の招待客だろうか。

 その彼を見た時。

 女将が、動きを止めた。

『ちょっと暗いところと、長髪なのがタマにキズ』

 それが、彼女の好きな人。

 目の前に立った男の人も、長髪。

 あ。

 メイは、にこにこになってしてしまった。

 きっと―― あれが、カノジョノスキナヒト。
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