冬うらら2
◎
ブーケが空を舞った時、まるで奇跡のように雪が降り始めた。
それに見とれていたハルコの乙女心は、ある光景のせいで砕け散った。
「まぁ!!」
独身女性の輪の中で、ブーケを受け取っていたのは―― 誰あろう、彼女の同級生だったのである。
今回の結婚式への招待状を、もらっているハズはなかった。
何しろ、未だ住所不定のままなのだ。
あの飲み屋こそ、確かに存在してはいるものの、どういうツテなのか、別の名義で借りられているという怪しさだった。
メイに居所を聞いて駆けつけた日は、あいにくの定休日で。
日を改めて行ったところ、ハルコの顔を見るなり、イタズラが見つかった猫みたいな顔をしたのだ。
昔から、まったく変わらない表情だった。
『まあまあ、固いこと言わないで…私はここにいるから、また遊びに来てよ』
その日は、「唐揚げにするとおいしいわよ」と、味付けされた鶏肉らしきものをもらって、丸め込まれたようにして家に帰されたのだ。
確かに、唐揚げはおいしかったけれども。
その彼女が。
またも、花嫁のブーケをゲットしているのである。
どこから、情報を仕入れてきたのか。
あの2人が結婚する、ということは―― 確かに、尋ねて行った時に話したが、詳しいことまではしゃべっていないのに。
ハルコの式の時と、まったく同じだった。
このまま逃げられてはかなわないと、ハルコは人混みを分けて、彼女の元にたどりついた。
「あら、ハルコ…そんなに慌てると危ないわよ」
きっと、彼女なりにハルコのお腹のことを、気にかけてくれているのだろうが、話をそらされているような気もした。
ブーケが空を舞った時、まるで奇跡のように雪が降り始めた。
それに見とれていたハルコの乙女心は、ある光景のせいで砕け散った。
「まぁ!!」
独身女性の輪の中で、ブーケを受け取っていたのは―― 誰あろう、彼女の同級生だったのである。
今回の結婚式への招待状を、もらっているハズはなかった。
何しろ、未だ住所不定のままなのだ。
あの飲み屋こそ、確かに存在してはいるものの、どういうツテなのか、別の名義で借りられているという怪しさだった。
メイに居所を聞いて駆けつけた日は、あいにくの定休日で。
日を改めて行ったところ、ハルコの顔を見るなり、イタズラが見つかった猫みたいな顔をしたのだ。
昔から、まったく変わらない表情だった。
『まあまあ、固いこと言わないで…私はここにいるから、また遊びに来てよ』
その日は、「唐揚げにするとおいしいわよ」と、味付けされた鶏肉らしきものをもらって、丸め込まれたようにして家に帰されたのだ。
確かに、唐揚げはおいしかったけれども。
その彼女が。
またも、花嫁のブーケをゲットしているのである。
どこから、情報を仕入れてきたのか。
あの2人が結婚する、ということは―― 確かに、尋ねて行った時に話したが、詳しいことまではしゃべっていないのに。
ハルコの式の時と、まったく同じだった。
このまま逃げられてはかなわないと、ハルコは人混みを分けて、彼女の元にたどりついた。
「あら、ハルコ…そんなに慌てると危ないわよ」
きっと、彼女なりにハルコのお腹のことを、気にかけてくれているのだろうが、話をそらされているような気もした。