冬うらら2
◎
いざ、「あなたって人は…」と言おうとしたのに。
女の子たちの群れが、その迫力に押されたのか、道が出来るように一カ所だけ割れた。
あら。
その気配に、ハルコが視線を向けると。
魔王だわ。
最初に、そう思った。
いつも、彼に対する一番最初の印象は、それだ。
鋼南の同業者の社長でもあり、彼らの同級生でもある長い黒髪の男。
あの時。
お姫様の相手役の、魔王をやった同級生。
あの劇以来、ハルコの中での彼の名前は、それになってしまっていた。
鋼南電気の秘書をしている時、数回見かけたくらいで、現在も親しいワケではない。
学生時代以来、しゃべった記憶もない―― というか、学生時代もほとんど覚えていなかった。
覚えているのは、劇のセリフばかり。
魔王の役ということで、余りに雰囲気がぴったりだったので、推薦で一瞬で決定してしまった彼だったが、独特の雰囲気のおかげで、セリフも少なくて済んだ。
『姫……』
一番覚えているのは、その言葉。
そして、その時に呼びかけた相手は──
いざ、「あなたって人は…」と言おうとしたのに。
女の子たちの群れが、その迫力に押されたのか、道が出来るように一カ所だけ割れた。
あら。
その気配に、ハルコが視線を向けると。
魔王だわ。
最初に、そう思った。
いつも、彼に対する一番最初の印象は、それだ。
鋼南の同業者の社長でもあり、彼らの同級生でもある長い黒髪の男。
あの時。
お姫様の相手役の、魔王をやった同級生。
あの劇以来、ハルコの中での彼の名前は、それになってしまっていた。
鋼南電気の秘書をしている時、数回見かけたくらいで、現在も親しいワケではない。
学生時代以来、しゃべった記憶もない―― というか、学生時代もほとんど覚えていなかった。
覚えているのは、劇のセリフばかり。
魔王の役ということで、余りに雰囲気がぴったりだったので、推薦で一瞬で決定してしまった彼だったが、独特の雰囲気のおかげで、セリフも少なくて済んだ。
『姫……』
一番覚えているのは、その言葉。
そして、その時に呼びかけた相手は──