冬うらら2

 唖然。

 カイトは、何が起きたのかすぐには分からなかった。

 しかし、チビすけが口にした『BADIA』は、KO-NANが作っているRPGゲームのタイトルである。

 その攻略でも聞きたかったのか、それとも何か自慢したかったのか―― どうやら、そのどちらからしい。

 クッ。

 少し遅れたが、分かった瞬間にカイトは笑ってしまった。

 いくら子供とは言え、大した度胸だ、と思ったからだ。

 この特殊な雰囲気の中だというのに、まったくそれを気にせずにゲームの話などを切り出せるのである。

「あっ、あのね…ユウちゃんはね、すごくゲームが好きで…前に話したかもしれないけど…」

 赤い顔をしたまま。

 ウェディングドレス姿であることを、一瞬忘れてしまったかのように、メイまでも興奮してそんなことを言い出す。

 だが。

「はい、ちょっと化粧をお直ししましょうね」

 メイクを担当が入ってきたかと思うと、忙しそうな声で、彼女の言葉をさえぎった。

 慌てて、新婦は口を閉じたのである。

 そして。

 連れていくなと言いたかったのに―― ついたての向こう側に、彼女を奪われてしまった。

 必要ないだろうに、ハルコまで覗きに行ってしまって

 何が面白くて、ソウマと2人で置き去りにされなければならないのだろうか。
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