冬うらら2
◎
「新郎新婦の入場です!」
声高らかに告げられた後、一番後ろのドアが重々しく開いた。
暗かった会場内に、ぱっと白いスポットライトがともる。
その中央には――
まあまあ。
拍手をしながら待っていたハルコは、思わずにっこりしてしまった。
とっさにメイが、ぎゅっと彼の腕にしがみついたのが見えたからだ。
その光景は、微笑まし過ぎる。
何と、仲睦まじいカップルなのか。
いや、いかに睦まじいかくらい、ハルコはたくさん知っている。
外部の人間では、おそらく彼ら夫婦ほど、あの2人のことを知っている者はいないだろう。
しかし、いま見えている姿は、それを知らない人間にも、2人の関係を教える一瞬でもあったのだ。
ハルコが、最初にクギを刺したことをどうやら覚えているらしく、カイトがダッシュをすることはなかった。
それどころか、ちらりと横を気にするような視線を投げながら、注意深く足を踏み出すのである。
とんでもなく、面白くない顔をしたまま。
そのギャップが、たまらない。
こんな披露宴なんか、投げ捨てたくてしょうがないくせに、それをぐっと我慢しているのだ。
あのカイトに、ここまで我慢させるなんて。
メイという存在の偉大さが、はっきりと分かった。
会社の人間たちは、さぞや驚いていることだろう。
特に、ハルコの後に秘書になったリエなど、きっと今頃、目をむいているに違いない。
そうして、頭の中には、「あの社長が」という言葉が、渦巻いているに違いないのだ。
「コウノ」として、カイトを慕っている開発の男たちも、きっと今日の彼には驚いているはずだ。
彼らのイメージの「コウノ」とは、きっとコンピュータ・バカで、わがままで、そして披露宴などで、スポットライトなどを浴びることなどない―― そういうものだろう。
「新郎新婦の入場です!」
声高らかに告げられた後、一番後ろのドアが重々しく開いた。
暗かった会場内に、ぱっと白いスポットライトがともる。
その中央には――
まあまあ。
拍手をしながら待っていたハルコは、思わずにっこりしてしまった。
とっさにメイが、ぎゅっと彼の腕にしがみついたのが見えたからだ。
その光景は、微笑まし過ぎる。
何と、仲睦まじいカップルなのか。
いや、いかに睦まじいかくらい、ハルコはたくさん知っている。
外部の人間では、おそらく彼ら夫婦ほど、あの2人のことを知っている者はいないだろう。
しかし、いま見えている姿は、それを知らない人間にも、2人の関係を教える一瞬でもあったのだ。
ハルコが、最初にクギを刺したことをどうやら覚えているらしく、カイトがダッシュをすることはなかった。
それどころか、ちらりと横を気にするような視線を投げながら、注意深く足を踏み出すのである。
とんでもなく、面白くない顔をしたまま。
そのギャップが、たまらない。
こんな披露宴なんか、投げ捨てたくてしょうがないくせに、それをぐっと我慢しているのだ。
あのカイトに、ここまで我慢させるなんて。
メイという存在の偉大さが、はっきりと分かった。
会社の人間たちは、さぞや驚いていることだろう。
特に、ハルコの後に秘書になったリエなど、きっと今頃、目をむいているに違いない。
そうして、頭の中には、「あの社長が」という言葉が、渦巻いているに違いないのだ。
「コウノ」として、カイトを慕っている開発の男たちも、きっと今日の彼には驚いているはずだ。
彼らのイメージの「コウノ」とは、きっとコンピュータ・バカで、わがままで、そして披露宴などで、スポットライトなどを浴びることなどない―― そういうものだろう。