冬うらら2

 びっくりして隣を見ると、水の入ったグラスをテーブルに起きながら、ごほごほと咳き込み続けている。

 背中をさすってあげようと腰を浮かせかけたが、ウェディングドレスでは動きにくい。

 椅子を動かそうとしている内に、彼の咳は収まってしまった。

「ああ、社長…そんなに照れないでください。大丈夫ですよ、取ろうなんて考えたりしませんから」

 チーフの発言のせいで、会場がどっとわいた。

 またも、メイは赤くなってしまう。


 披露宴という、まな板の上での調理は、まだ始まったばかりだった。
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