冬うらら2

 結局、ソウマの意見通りに、席次表を作成したものの。

 おや?

 シュウは、一つだけ空席が気になっていた。

 その教授の隣の席―― シン社長の席だ。

 披露宴が始まった時から、誰も座った気配がない。

 しかし、結婚式場には、確かに彼は列席していたのだ。

 あそこからこのホテルまで、通常の道筋であれば、こんなにまで遅れることはないはずである。

 徒歩であったとしても、ほんの10分ほどの距離だというのに。

 すでに式を終えて、1時間半以上は経過していた。

 何か、トラブルが起きていなければよいのですが。

 他社の人間の披露宴に列席する途中で、事故や事件などに巻き込まれては、鋼南電気としても、知らぬ存ぜぬで通すことはできないだろう。

 怒るアオイ教授と、不在のシン社長。

 そして、不機嫌がありありと分かる、カイト社長。

 シュウの思考の中には、不確定要素が多く含まれて、正確な判断力のパーセンテージを削られてしまっていた。

 どうして、予定通りに動けない人が多いのでしょう。

 困りましたね。

 シュウの悩みは尽きなかった。
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