冬うらら2
☆
ほほぉ。
ソウマは、祝辞を述べている男を見た。
カイトが指名したという、開発室のチーフらしいが、なかなかよい祝辞だ。
あのカイトの下にいるのだから、もしかしたら睨みを効かされていて、当たり障りのないスピーチになるのではないかと思っていたが、どうしてどうして。
いいカンをしている。
カイトが、いかにメイに惚れているかを知っているのか、それとも、元々そういうことを言う男なのか―― どちらにせよ、いまカイトを咳き込ませたことには間違いない。
かなり、痛いところをつかれたようだ。
ちょっと他の男が、新婦をほめただけで。
普通、そうなるか?
自分の席で、ソウマはにこにこしてしまった。
こんなに楽しい祝辞なら、大歓迎だった。
これがもし、アオイ教授だったら。
そう想像してしまった自分に、苦笑する。
出て来たがる可能性は、高かったのだ。
もし、カイトがちゃんと大学を卒業していたならば、間違いなく恩師という肩書きで、いまマイクの前にいたにちがいない。
ううむ。
大学時代を思い出す。
アオイ教授ほど、一般の講義と、そうでない講義のおもしろさが、ばっきりと分かれる人はいなかったのだ。
専門知識を駆使した講義は、本当にソウマも好きだった。
のに。
これが、講堂で行われるような、授業とは関係のない演説などになると、信じられないほど眠気を誘うのである。
しかも、一度しゃべり始めると長く、かなり眠りも深いところに連れていかれてしまう。
アオイ教授の演説で、眠らないのはシュウぐらいだ。
だから、こんなところで祝辞を述べられてしまうと、おそらく間違いなく条件反射で、ソウマは眠ってしまうだろう。
新郎はさすがに場所柄、眠らないかもしれないが、怒り狂うこと間違いナシだ。
ああ、よかった。
だから、アオイ教授にマイクを奪われなくて本当によかったと、ソウマは胸をなで下ろした。
いやあ、いい祝辞だった。
ソウマは、惜しみなく第一開発部チーフに拍手を送ったのだ。
ほほぉ。
ソウマは、祝辞を述べている男を見た。
カイトが指名したという、開発室のチーフらしいが、なかなかよい祝辞だ。
あのカイトの下にいるのだから、もしかしたら睨みを効かされていて、当たり障りのないスピーチになるのではないかと思っていたが、どうしてどうして。
いいカンをしている。
カイトが、いかにメイに惚れているかを知っているのか、それとも、元々そういうことを言う男なのか―― どちらにせよ、いまカイトを咳き込ませたことには間違いない。
かなり、痛いところをつかれたようだ。
ちょっと他の男が、新婦をほめただけで。
普通、そうなるか?
自分の席で、ソウマはにこにこしてしまった。
こんなに楽しい祝辞なら、大歓迎だった。
これがもし、アオイ教授だったら。
そう想像してしまった自分に、苦笑する。
出て来たがる可能性は、高かったのだ。
もし、カイトがちゃんと大学を卒業していたならば、間違いなく恩師という肩書きで、いまマイクの前にいたにちがいない。
ううむ。
大学時代を思い出す。
アオイ教授ほど、一般の講義と、そうでない講義のおもしろさが、ばっきりと分かれる人はいなかったのだ。
専門知識を駆使した講義は、本当にソウマも好きだった。
のに。
これが、講堂で行われるような、授業とは関係のない演説などになると、信じられないほど眠気を誘うのである。
しかも、一度しゃべり始めると長く、かなり眠りも深いところに連れていかれてしまう。
アオイ教授の演説で、眠らないのはシュウぐらいだ。
だから、こんなところで祝辞を述べられてしまうと、おそらく間違いなく条件反射で、ソウマは眠ってしまうだろう。
新郎はさすがに場所柄、眠らないかもしれないが、怒り狂うこと間違いナシだ。
ああ、よかった。
だから、アオイ教授にマイクを奪われなくて本当によかったと、ソウマは胸をなで下ろした。
いやあ、いい祝辞だった。
ソウマは、惜しみなく第一開発部チーフに拍手を送ったのだ。