冬うらら2
◎
あらあら。
ハルコは、苦笑した。
いままでずっと笑顔だったのに、その笑顔がついにイヤなものに変化してしまったのだ。
シュウが、しゃべり出してしまったのである。
乾杯の音頭というのは、ちょこちょこっと前置きを言った後に、「乾杯!」だけ言えば済む役目なのだ。
しかし、会社のCMをしておかなければならないという使命でもあるのだろうか。
おかげで、延々と周囲の人にグラスを持たせて、立ち尽くさせているのだ。
誰に似たのかしら。
こういう長くつまらない演説は、アオイ教授のオハコだった。
さすがに、みんな立っているので居眠りを初めてしまう人はいなかったが、内容的には教授とどんぐりの背比べだ。
いつだったか、式の話をシュウとしていた時、『全て本で学習しましたので、大丈夫です』と言っていたのだが、一体どこの本を見たのか。
教本がいけなかったのか、恩師がいけなかったのか。
ふぅ。
そうため息をついた直後―― はっと気づいたことがあった。
隣の席にいたはずの、ソウマがいきなりいなくなっているのだ。
ついさっきまで、確かに一緒にグラスを持っていたというのに。
あらあら。
ハルコは、苦笑した。
いままでずっと笑顔だったのに、その笑顔がついにイヤなものに変化してしまったのだ。
シュウが、しゃべり出してしまったのである。
乾杯の音頭というのは、ちょこちょこっと前置きを言った後に、「乾杯!」だけ言えば済む役目なのだ。
しかし、会社のCMをしておかなければならないという使命でもあるのだろうか。
おかげで、延々と周囲の人にグラスを持たせて、立ち尽くさせているのだ。
誰に似たのかしら。
こういう長くつまらない演説は、アオイ教授のオハコだった。
さすがに、みんな立っているので居眠りを初めてしまう人はいなかったが、内容的には教授とどんぐりの背比べだ。
いつだったか、式の話をシュウとしていた時、『全て本で学習しましたので、大丈夫です』と言っていたのだが、一体どこの本を見たのか。
教本がいけなかったのか、恩師がいけなかったのか。
ふぅ。
そうため息をついた直後―― はっと気づいたことがあった。
隣の席にいたはずの、ソウマがいきなりいなくなっているのだ。
ついさっきまで、確かに一緒にグラスを持っていたというのに。