冬うらら2
♪乾杯……の頃

 うううう。

 ハナは、すっかりふてくされていた。

 クマちゃんを殴っているところを見られたせいで、すっかりユキに怒られてしまったのだ。

 怒ると言っても、直接的にガンガン口で言うワケではない。

 ただ、無言でクマちゃんを連れ去って行ってしまったのだ。

 チョコレートの残り香だけを、プンプンさせて。

 ああ!

 そうして、今日はバレンタインデーであることを思い出したのだ。

 きっとキズオのために、チョコレートを手作りしていたに違いない。

 ということは、この部屋にきたのも、味見のお誘いだったに違いないのに。

 それもこれも。

 コウノがいけないのよ~~~~!!!

 自分を披露宴に誘わないから、彼女は今日は踏んだり蹴ったりだ。

 あーあ。

 ふて寝にも飽きて、彼女はクローゼットを開けた。

 そろそろ、二次会に行くための服でも選ぼうと思っていたのだ。

 昨日までは、第一の応援が忙しくて、それどころではなかった。

 ガチャガチャとハンガーを鳴らしながら、頭を突っ込んで探す。

 フォーマルな、余り服は持っていなかった。

 その分、コンピュータ関係にお金をつぎ込んできたからだ。

 大体、三姉妹で体型が一緒なのだから、いざとなったら借りれば済むことで。

 そうだ、借りようっと。

 るんるんと部屋を出ようとして。

 ハッ!

 自分が、1号を怒らせたことを思い出したのだ。
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