冬うらら2

 あの様子だと、きっと洋服は貸してくれないだろう。

 ちぇー。

 更にフテちゃおうかな、と思いかけていたハナに、ふっとひらめきランプがともったのだった。

 そうよ! もう1人いるじゃない!!!

 1号との絡みがいつも多いので、ついつい忘れていた。

「2号~~!!」

 バッターン!

 ノックもなしに、ハナは2番目の姉の部屋を開けたのだった。


   ※


「きゃあ!!!!」

 2号―― ツキは、着替え中だった。

「あ、ごめんごめん」

 しかし、まったくハナは気にせずに、ずかずかと部屋に入り込んだ。

 男なら、きっと「おお!」と目を見開いて見たに違いないような、ナイスな下着姿だったのだが、生憎とハナは女だったし、性格以外はほぼ同じようなパーツだ。

 挙げ句、子供の頃から一緒にお風呂などに入っていたので、ちっとも照れというものがわき上がらなかった。

 鏡を見ているようなものである。

 そうして、ちょうどよくクローゼットが開いているのをいいことに、勝手に首を突っ込んだのだった。

「今日、結婚式の二次会行くから、服貸してねー」

 ガチャンガチャン。

 傍若無人に振る舞うハナだった。

「もう…2号って呼ばないでよ!」

 慌てふためいて、後ろで着替える音が聞こえる。

 この姉が、姉妹の中では一番普通と言っていいかもしれない。

 部屋の趣味も、性格も。
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