冬うらら2
□
違う何かに気を取られているメイだったが、名前を呼ぶとはっと彼の方を向いた。
そうして。
花開く寸前のような、未完成で切ない瞳を自分に向けた。
微笑みそうで、泣きそうで、愛しい思いの詰まった瞳。
それが。
それが、だ。
間違いなく、カイト自身に向けられていたのだ。
ぎゅっと、身体の芯が締め付けられる。
きっと、この気持ちは彼女を抱きしめるまでは、決して完治することはないだろう。
それまでは、ずっと身体の中で電流として残り続け、カイトの神経に触れ続けるに違いないのだ。
そんな気持ちをこらえ、彼女に腕を貸す。
そっと回される、手袋の指。
この一瞬だけ。
カイトは、「披露宴」という名前を行使したのだ。
見ろ、と。
そう、叫びたかった。
この誰よりも愛しい女が、一番思っているのは自分なのだと。
瞳を向けるのも、こうやって腕を組んでいいのも、誰でもない自分にだけなのだ。
そして。
2人の存在に隙間などないのだと、アピールしたかった。
が。
その気持ちは、長くは保たなかった。
何故ならば、ケーキの前にたどりついた2人を待っていたのは、再びカメラの群れだったのである。
口だけ笑って、目をファインダーにした化け物たちが、彼ら2人を撮り殺そうと、フラッシュの待機ランプをちらつかせているのだ。
違う何かに気を取られているメイだったが、名前を呼ぶとはっと彼の方を向いた。
そうして。
花開く寸前のような、未完成で切ない瞳を自分に向けた。
微笑みそうで、泣きそうで、愛しい思いの詰まった瞳。
それが。
それが、だ。
間違いなく、カイト自身に向けられていたのだ。
ぎゅっと、身体の芯が締め付けられる。
きっと、この気持ちは彼女を抱きしめるまでは、決して完治することはないだろう。
それまでは、ずっと身体の中で電流として残り続け、カイトの神経に触れ続けるに違いないのだ。
そんな気持ちをこらえ、彼女に腕を貸す。
そっと回される、手袋の指。
この一瞬だけ。
カイトは、「披露宴」という名前を行使したのだ。
見ろ、と。
そう、叫びたかった。
この誰よりも愛しい女が、一番思っているのは自分なのだと。
瞳を向けるのも、こうやって腕を組んでいいのも、誰でもない自分にだけなのだ。
そして。
2人の存在に隙間などないのだと、アピールしたかった。
が。
その気持ちは、長くは保たなかった。
何故ならば、ケーキの前にたどりついた2人を待っていたのは、再びカメラの群れだったのである。
口だけ笑って、目をファインダーにした化け物たちが、彼ら2人を撮り殺そうと、フラッシュの待機ランプをちらつかせているのだ。