冬うらら2
□
リボンを巻き付けたナイフが渡された時、ケーキよりもそのモンスターたちを、叩っ斬りたい衝動にかられた。
しかし。
メイの瞳が、自分を見ている。
さっきの、乾杯の酒に酔ったのだろうか―― いや、飲んでいなかったように思えた。
嫉妬がわきあがっていた時なので、正確なところは定かではないが。
でも。
いまの彼女は、カメラを気にしていないようにさえ思えた。
その瞳を、壊したくなかった。
2人でナイフを持って、真っ白なケーキの前に立つ。
カイトの知るウェディングケーキとは、ちょっと違った。
タテナガなのは一緒だったが、全部くっついて重なってはいないのだ。
二段目の部分は、別の支えのある皿の上に乗っていて、三段目もそんな感じで。
くっついて重なっているケーキは、きっとニセモノケーキだったのだろう。
元々、ケーキを好きではない彼だ。
本物かニセモノかなんて、調べようとも思っていなかった。
係の男が、この辺りをと指示をする。
ナイフで、ざっくり行けというところなのだろう。
「ゆっくりだぞ!」
さっきの結婚式のことが、尾を引いているのだろう。
もう容赦することなく、ソウマがはっきりとそれを言った。
ギロリと睨んでやりたかったが、メイのいま着込んでいる雰囲気には抗えない。
仏頂面のまま、ケーキを切ることに意識を向ける。
リボンを巻き付けたナイフが渡された時、ケーキよりもそのモンスターたちを、叩っ斬りたい衝動にかられた。
しかし。
メイの瞳が、自分を見ている。
さっきの、乾杯の酒に酔ったのだろうか―― いや、飲んでいなかったように思えた。
嫉妬がわきあがっていた時なので、正確なところは定かではないが。
でも。
いまの彼女は、カメラを気にしていないようにさえ思えた。
その瞳を、壊したくなかった。
2人でナイフを持って、真っ白なケーキの前に立つ。
カイトの知るウェディングケーキとは、ちょっと違った。
タテナガなのは一緒だったが、全部くっついて重なってはいないのだ。
二段目の部分は、別の支えのある皿の上に乗っていて、三段目もそんな感じで。
くっついて重なっているケーキは、きっとニセモノケーキだったのだろう。
元々、ケーキを好きではない彼だ。
本物かニセモノかなんて、調べようとも思っていなかった。
係の男が、この辺りをと指示をする。
ナイフで、ざっくり行けというところなのだろう。
「ゆっくりだぞ!」
さっきの結婚式のことが、尾を引いているのだろう。
もう容赦することなく、ソウマがはっきりとそれを言った。
ギロリと睨んでやりたかったが、メイのいま着込んでいる雰囲気には抗えない。
仏頂面のまま、ケーキを切ることに意識を向ける。