冬うらら2

「いま、2人の愛を刻み込もうとしています……ウェディングケーキ入刀です!」

 寒気の走る進行の声が終わるや、いきなりサビの映画音楽が流れ始める。

 しかし、それが何というタイトルであったかを考えるより先に。

 スッ。

 ケーキの柔肌の中に―― ナイフは沈み込んでいた。

 カイトは、さして力を入れていない。

 メイの力が、強く加わった感じもしない。

 ただ、最初からそうであったかのように自然に、刃が入った。

 その切っ先に目を奪われる。

 視界が、一瞬にして真っ白になる。

 それでハッとした。

 まるで、熱愛発覚した芸能人相手のようなフラッシュの群れが、彼らに襲いかかっていたのだ。


 2秒半しか、我慢ができなかった。
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