冬うらら2
◎
メイの視線がある前で、しくじるワケにはいかない彼としては、ついに覚悟を決めたように、ぎこちない動きでケーキの破片を掴んだのである。
手で食べさせるのだ。
カイトには、そっちの方がいいだろうということで、あっさり決定されたことだった。
ケーキを掴んだはいいが、今度はどうやって食べさせたらいいのか分からないようだ。
「新婦が、口を開けてあげないと、新郎は食べさせられませんよ…」
笑みがたっぷり混じっている進行は、すかさず次の指示を飛ばす。
このケーキの話は、新郎新婦には内緒ということで進めていたので、進行に引っ張ってもらえるようにお願いしていたのだ。
赤くなったメイは、ようやく唇を開けた。
でも、かなり控えめに。
多くのカメラが自分を狙っている前で、大口を開けるのは、確かに恥ずかしいだろう。
それに、カイトに何かを食べさせてもらうなんて、きっとこれが初めてに違いなかった。
緊張しまくった表情のカイトが、まるでその的を外すんじゃないかと心配しているような慎重な手つきで、ケーキを口元に運ぶ。
カメラが、激しくまたたく。
メイの赤い唇の中に、速攻でケーキを押し込むなんて出来るはずもない。
これはもう、カメラの格好の餌食だった。
本当に。
初々しいわねぇ。
ソウマ夫婦が、小学生の頃に卒業したような気持ちで、ようやくこの夫婦はスタートしたばかりだった。
メイの視線がある前で、しくじるワケにはいかない彼としては、ついに覚悟を決めたように、ぎこちない動きでケーキの破片を掴んだのである。
手で食べさせるのだ。
カイトには、そっちの方がいいだろうということで、あっさり決定されたことだった。
ケーキを掴んだはいいが、今度はどうやって食べさせたらいいのか分からないようだ。
「新婦が、口を開けてあげないと、新郎は食べさせられませんよ…」
笑みがたっぷり混じっている進行は、すかさず次の指示を飛ばす。
このケーキの話は、新郎新婦には内緒ということで進めていたので、進行に引っ張ってもらえるようにお願いしていたのだ。
赤くなったメイは、ようやく唇を開けた。
でも、かなり控えめに。
多くのカメラが自分を狙っている前で、大口を開けるのは、確かに恥ずかしいだろう。
それに、カイトに何かを食べさせてもらうなんて、きっとこれが初めてに違いなかった。
緊張しまくった表情のカイトが、まるでその的を外すんじゃないかと心配しているような慎重な手つきで、ケーキを口元に運ぶ。
カメラが、激しくまたたく。
メイの赤い唇の中に、速攻でケーキを押し込むなんて出来るはずもない。
これはもう、カメラの格好の餌食だった。
本当に。
初々しいわねぇ。
ソウマ夫婦が、小学生の頃に卒業したような気持ちで、ようやくこの夫婦はスタートしたばかりだった。